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​ポスター展示

グリーンインフラに関わる情報発信と交流の場として、ポスター展示を行いました。

​展示場所:東京ビックサイト グリーンインフラ産業展2024 ポスター展示会場

展示期間:2024年2月20日(火)~2月22日(木) 計3日間

96

件の応募

応募担当者より公開の許可をいただいたポスターのみを掲載しております。

掲載されているポスターの著作権は応募担当者に帰属しますので、ポスターの無断使用は禁止となっております。

番号
応募担当者
ポスター名
非営利部門-1
神谷 博

世田谷グリーンインフラ研究会の活動

非営利部門-2
神谷 博

武蔵野台地における 雨水浸透型『雨にわ』によるNbSの普及・実証事業

非営利部門-3
角屋 ゆず

自分でもできる雨庭づくり~市民の小さな実践をつなげて、92万人が取り組むグリーンインフラへ~   

非営利部門-4
渡辺 剛弘

善福寺池周辺グリーンインフラ計画の提案

非営利部門-5
羽方 優紀

日本最後の清流四万十川を取り巻く現状

非営利部門-6
蔭山 敦士

矢作川流域圏懇談会の設立。そして、これから(14年の活動)

非営利部門-7
古川 恵太

全国アマモサミットの歴史

非営利部門-8
中村 篤史

遅野井川親水施設が「自然共生サイト」に認定されました

非営利部門-9
森 紗綾香

民主導で進めるコウノトリの定着を目指したビオトープ整備と地域活性化の取組

非営利部門-10
中野 裕香子

北九州市都市計画道路6号線道路改築事業 曽根干潟と水田地帯にすむ生き物との共存・共生

非営利部門-11
柏本 ゆかり

若者の多様な関わり方による地方でのグリーンインフラ管理の実践

非営利部門-12
一柳 英隆

熊本県相良村ハッチョウトンボの里、再び:瀬戸堤自然生態園、再生

非営利部門-13
丹羽 英之

沖縄県金武町におけるマングローブ林の持続的活用と保全に関わる包括的施策

非営利部門-14
安原 一哉

グリーンインフラを用いた災害低減技術

非営利部門-15
長倉 恵美子

アジアにおける湿地に関連した伝統的または地域的なEco-DRRの事例

研究者部門-1
古田 尚也

グリーンインフラとしての都市農業の実践

研究者部門-2
山本 空洋

グリーンインフラとしての都市農業をテーマとした学校でのSDGs教育の実践

研究者部門-3
古田 尚也

都市農業を対象としたセルフビルド型独立電源カメラシステムと衛星インターネット、屋外WIFI

研究者部門-4
佐藤 琢磨

みんなでつくる、みんなのためのIoT

研究者部門-5
中川 智裕

若者による放棄地再生 ― 地域とともに取り組む農と食の再構築

研究者部門-6
政金 裕太

緑の流域治水スタディツアー

研究者部門-7
寺村 淳

伝統知・地域知を活かした防災と住まい方➀

研究者部門-8
寺村 淳

伝統知・地域知を活かした防災と住まい方②

研究者部門-9
寺村 淳

伝統知・地域知を活かした防災と住まい方③

研究者部門-10
大原 歩

比良山麓の伝統知・地域知ー「カワト」と「イケ」の仕組みからみる水資源の活用

研究者部門-11
王 聞

Eco-DRRに向けて滋賀県比良山麓の地場石材を活用した伝統知・地域知

研究者部門-12
中井 美波

比良山麓の伝統知・地域知−江戸期と明治期の山林の植生と資源利用

研究者部門-13
浅田 寛喜

阿蘇地域における植生が有する防災機能の評価

研究者部門-14
小川 みふゆ

聞き書きから作成したデータベースの活用のすすめ:植物がもたらす生態系サービス解析

研究者部門-15
吉田 丈人

自然の恵みと災いの地域文化:生態系を活用した防災減災(Eco-DRR)の視点から

研究者部門-16
田浦 扶充子

南阿蘇村の石垣文化と継承に向けた実践活動

研究者部門-17
伊豫岡 宏樹

地域住民による河道内植生管理によって生まれたオープンスペースの効果

研究者部門-18
髙田 浩志

山地河川を対象にした多自然川づくり:山附川の事例

研究者部門-19
田中 亮平

土地利用種・土地被覆・土地利用形態と雨水流出を軸にしたGI形成のシナリオ分析

研究者部門-20
髙田 浩志

都市域での流域治水「雨庭」:熊本県の事例紹介

研究者部門-21
田浦 扶充子

雨庭の流出抑制効果の検証 ~熊本県立大学内雨庭の事例~

研究者部門-22
山下 三平

伝統的枯山水の機能評価と現代雨庭のデザイン

研究者部門-23
所谷 茜

雨庭の普及に向けたソーシャルデザイン―雨庭パートナーシップー

研究者部門-24
柘植 隆宏

遊水池設置による下流域の洪水被害軽減に対する上流域の住民の選好

研究者部門-25
田浦 扶充子

でかスギガードレール

研究者部門-26
羽野 暁

人と地球に優しいバリアフリー杉デッキ歩道

研究者部門-27
鈴木 詩衣菜

知っておきたいラムサール条約の世界

研究者部門-28
SADAT SAYED HASHMAT

Simulation of Flood Waveform Deformation with Green Infrastructure for River Restoration

学生部門-1
小島 綾子

森の教室project

学生部門-2
小池 里英

教育教材技術普及のためのマニュアル・動画作成

学生部門-3
植平 隆暉

近江富士花緑公園における仮設式雨庭の実装と効果検証

学生部門-4
西村 武之

球磨モンの水土林プロジェクト「雨庭の普及に関する基礎的研究」

学生部門-5
山下 真奈

ボタニカルライト(植物による発電)を用いた緑化植物の検討

学生部門-6
武田 一晃

街路樹の多機能性、特に緑陰効果と樹幹流による雨水貯留機能

学生部門-7
竹下 明日香

犬が公園緑地にもたらす社会的効果の評価と提案

学生部門-8
中山 大輝

慶應義塾大学Satoyama Fujisawa Campusプロジェクト

学生部門-9
徳永 至

川辺川における水害防備林の実態と氾濫流抑制機能に関する研究

学生部門-10
三苫 千春

人吉盆地流入河川の水害防備林の地域資源としての価値評価

学生部門-11
武田 佳明

谷津の機能に対する支払意思額に関する基礎的研究

学生部門-12
新垣 俊介

球磨川流域における迫放棄田を活用した流出抑制及び湿性生物生息場機能の評価と強化策の検討 

学生部門-13
野口 航輝

球磨川水系免田川,井口川流域に導入された田んぼダムの流出孔を考慮した流出抑制効果の評価

学生部門-14
津田 拓海

堤内地における流域治水対策導入による人吉市市街地の浸水被害低減効果の予測評価

学生部門-15
徳永 茉咲

筑後川中流平野右岸圏域における災害復旧事業が筑後川本川流量に与える影響

学生部門-16
佐藤 辰郎

段階的に間伐整備が進む森林における洪水流出率の経年変化

学生部門-17
李 聡

里山環境の都立公園における秋のホンドタヌキの活動

学生部門-18
山﨑 庸平

歴史的水利施設廻水路の有するグリーンインフラ機能~希少魚類生息場機能を例に~

学生部門-19
佐藤 辰郎

多自然川づくりが実施された急流河川における大規模出水の影響評価

学生部門-20
佐藤 辰郎

急流河川に存置された巨石の移動条件に関する研究

学生部門-21
佐藤 辰郎

カメラ画像を用いた河川・水路の水位計測システムの開発

学生部門-22
佐藤 辰郎

中小河川におけるIoTセンサーを用いた河川縦断水位の高密度観測

学生部門-23
佐藤 辰郎

JET水車を用いた小水力発電システムの出力特性に関する研究

学生部門-24
佐藤 辰郎

農村型地域運営組織(農村RMO)による空間管理の実態と課題

企業部門-1
田浦 扶充子

学校グランドで進める流域治水:雨庭・流出抑制技術の導入1

企業部門-2
田浦 扶充子

学校グランドで進める流域治水:雨庭・流出抑制技術の導入2

企業部門-3
金子 有太

都市型住宅で地域に魅せる雨庭デザイン ~住宅規模からはじめる雨まちづくりの提案~

企業部門-4
池谷 太郎

三島商工会議所のグリーンインフラの取り組み

企業部門-5
滝澤 恭平

葉山におけるレインガーデン市民普請プロジェクトの実践

企業部門-6
稲葉 修一

ExcelとOpenDataでGIの浸水低減効果を概略予測

企業部門-7
秋山 礼子

雨宿里・ハイドロ雨水循環壁面緑化システム

企業部門-8
南雲 亜樹

法面緑化とグリーンインフラ

企業部門-9
田﨑 一宏

耐荷重に優れる雨水貯留材を植栽基盤へ適用した グリーンインフラ工法の開発

企業部門-10
末松 吉生

空枠式護岸ブロック マザーズロックⅢ型(環境型ブロック)

企業部門-11
鹿田 昌史

N23-ATTAC改良土

企業部門-12
髙木 こころ

阿蘇くじゅうサイクルフィールズ

企業部門-13
白土 智子

茨城県守谷市におけるグリーンインフラの取組み ー活動開始から7年目の取組状況ー

企業部門-14
松永 香織

自然再生の『経済活動化』を見据えた蒜山自然再生協議会の取り組み

企業部門-15
林 寛子

新潟における「グリーンインフラによる安全安心な都市づくり研究会」の活動

企業部門-16
安枝 裕司

北九州市におけるホップを活用した自然再興型第6.5次産業の推進による生物多様性保全と地域経済に貢献するまちづくり

企業部門-17
後藤 祐哉

九州・沖縄地域におけるEco-DRRランドスケープ ~気候変動適応に向けた九州・沖縄地域での取組~

企業部門-18
後藤 颯太

GIはどこに導入するのが効果的?ネットワーク解析による生物多様性保全に効果的な場所の抽出

企業部門-19
中尾 理恵子

グリーンインフラの社会実装に向けた地方自治体の計画づくり

企業部門-20
小笠原 奨悟

持続可能な地域づくりのための生態系を活用した 防災・減災(Eco-DRR)の手引き

企業部門-21
髙森 万貴

品川セントラルガーデンにおける年間を通した利用実態に関する研究

企業部門-22
幸福 智

グリーンインフラや自然資本は人の感情に影響を与えているか。因果AIが語る機序。

企業部門-23
上野 裕介

ネイチャーポジティブの実現に求められるグリーンインフラ整備のあり方

企業部門-24
上野 裕介

グリーンインフラの技術をネイチャーポジティブ社会の実現に活かすために

企業部門-25
相澤 章仁

企業緑地で行う生物多様性向上の取り組み

企業部門-26
北野 雅人

環境DNA分析によるトンボ目の網羅的検出と既存調査手法との比較

企業部門-27
加藤 靖広

環境DNAパッシブサンプリングツールによる生物多様性モニタリング

企業部門-28
岡崎 祐子

葛川子供水力発電所

企業部門-29
岡崎 祐子

<Jet Peers〜村づくり主体形成を支える小水力発電モジュールと多地域連携プラットフォームの開発〜>

非営利部門-1

世田谷グリーンインフラ研究会の活動

発表者

神谷 博

所属

世田谷グリーンインフラ研究会

​連名著者

要旨

世田谷グリーンインフラ研究会は2015年以来グリーンインフラ実践のための活動を行っている。近年は雨庭の普及活動に力を入れている。活動の経緯及び最新状況について報告する。

非営利部門-2

武蔵野台地における 雨水浸透型『雨にわ』によるNbSの普及・実証事業

発表者

神谷 博

所属

特定非営利活動法人 雨水まちづくりサポート

​連名著者

要旨

雨庭は地域の特性に応じた設置方法が必要となる。東京西部は武蔵野台地が広がっており、関東ローム層に厚く覆われている。雨水の浸透性に優れており、武蔵野台地型の雨庭の開発、普及を目指した。雨庭を広く普及させることは、オンサイトの流域対策として流域治水に寄与するとともに生物多様性を高める。モデル地域として世田谷区と武蔵野市を選び、戸建て住宅で雨庭の実践を参加型ワークショップにより実施した。事業に当たっては、米国コカコーラ財団の助成金を得て実施した。

非営利部門-3

自分でもできる雨庭づくり ~ 市民の小さな実践をつなげて、92万人が取り組むグリーンインフラへ~   

発表者

角屋 ゆず

所属

一般財団法人 世田谷トラストまちづくり トラストみどり課 主任

​連名著者

並木正志(トラストみどり課 課長)/荒井千鶴(同課 係長)/鈴木寛子(同課 係員)/後藤由美(同課 係員)

要旨

(一財)世田谷トラストまちづくりでは1989年より市民ボランティアとの協働による世田谷区内の緑地・公園の維持保全や市民主体による良好な環境の形成及び参加・連携・協働のまちづくりを推進、支援しています。この経験を活かし2020年度よりグリーンインフラ(以下、GI)に係る取り組みをスタートしました。住宅地が7割を占める世田谷では、区民一人ひとりが主体的にGIに取り組むことが何より重要です。一方で、GIは区民にとって認知度は高くありません。そこで、区民が暮らしの中で思わず取り組みたくなる個人宅等でも実践し易い「自分でもできる雨庭づくり」の取り組みを始めました。4年間の実践とこれからについて発表します

非営利部門-4

善福寺池周辺グリーンインフラ計画の提案

発表者

渡辺 剛弘

所属

上智大学・善福寺川を里川にカエル会

​連名著者

中村晋一郎(名古屋大学・善福寺川を里川にカエル会)/中谷理沙子(善福寺川を里川にカエル会)/滝澤恭平(善福寺川を里川にカエル会)/境原達也(善福寺川を里川にカエル会)/鈴木律子(善福寺川を里川にカエル会)/長谷川まさや(善福寺川を里川にカエル会・お散歩の会(杉並))/中村小百合(善福寺川を里川にカエル会)/渡辺博重(善福寺川を里川にカエル会)

要旨

善福寺池周辺におけるグリーンインフラ計画の提案 
① 善福寺池の環境改善
雨水の貯留や浸透を促進し、善福寺川の源流である池の水質向上を目指す。
② 合流式下水道越流水の改善
下水が善福寺川の水質を悪化させている。GIを実装し、汚水流出を減少させ、水質の改善を狙う。
③ 都市型洪水の緩和
雨水を蓄積し、浸透しやすいまちづくりを提案し、流域全体で水害対策に取り組む。
④ 都市内の水辺や緑地の整備
雨水を活用できる水辺や緑地を整備し、池周辺の自然を保ちつつ、水質改善に寄与する。
⑤ 流域内の生物多様性の向上
GIの導入によりエコトーンを増やし、生物多様性の増進を目指す。

非営利部門-5

日本最後の清流四万十川を取り巻く現状

発表者

羽方 優紀

所属

公益財団法人 四万十川財団

​連名著者

丸石 あいみ(公益財団法人 四万十川財団)

要旨

流域で暮らす人々は、日本最後の清流で起こる様々な変化を感じている。山が変わった、川底に砂や泥が増えた、砂が石の間を埋めて生き物が暮らせる場所が少なくなった、川底が固まり伏流水が湧かなくなった。。。また、山からの土砂供給が減ったと感じている人のなかには、要因として山の荒廃の他に砂防ダムがあるのではないかと考える人もいる。ただ、これらの現状を客観視できるデータはなく、今後、現状把握・原因究明に向けた調査を行いながら、小さなアクションを起こしていくことで、清流四万十川を取り戻したいと考えている。ぜひお知恵をお貸しいただきたい。

非営利部門-6

矢作川流域圏懇談会の設立。そして、これから(14年の活動)

発表者

蔭山 敦士

所属

矢作川流域圏懇談会 事務局

​連名著者

石原 淳/中田 慎/金井 亮介/筒井 千遥/向井 雄紀/嵐 裕介

要旨

「矢作川水系河川整備計画(2009年策定)」において治水、利水、環境、総合土砂管理などの諸課題に対し、“流域は一つ、運命共同体”という共通認識を持ち、調和のとれた流域圏全体の持続的発展を目指すために民・学・官がそれぞれの役割による取組みが必要であると明記された。これにより国土交通省豊橋河川事務所は、「矢作川流域圏懇談会(2010年)」を設立した。設立当初は、参加者、団体などの課題や問題などを共通認識することやお互いを理解し合うのに時間を費やしたが、継続して流域圏の皆さんと議論を重ね、またそれを情報発信することにより、矢作川流域の恩恵を様々な人が供与しているという流域思考という概念に至っている。

非営利部門-7

全国アマモサミットの歴史

発表者

古川 恵太

所属

海辺つくり研究会

​連名著者

要旨

15年にわたるアマモ場再生を象徴とした沿岸域の自然再生に取り組む人々の交流の場であった「全国アマモサミット」。その足跡を概観し、今後の活動への指針をえるため開催された「国際アマモ・ブルーカーボンワークショップ(2023年11月17-19日)」の情報もお伝えします。

非営利部門-8

遅野井川親水施設が「自然共生サイト」に認定されました

発表者

中村 篤史

所属

杉並区都市整備部土木計画課

​連名著者

伊地知英信(遲野井川かっぱの会)/渡辺博重(遲野井川かっぱの会)/中谷理彩子(遲野井川かっぱの会)

要旨

「自由に川へ入って遊びたい」、子どもたちの夢が実現した遅野井川親水施設。計画段階から地域の方や地元小学生の意見を取り入れ進められました。施設の特徴は、生物が生息・生育できるエリアと人々が憩い安らげるエリアと分けたところです。区民が主体的に参加できる活動を取り入れられるように、区民団体「遅野井川かっぱの会」が作られ、区と協働して維持管理を行っています。
 都市における貴重な水域生態系として評価をいただき、自然共生サイトへの認定につながりました。さらに、都市ならではの課題として親水エリアの利用自体を妨げることなく保護を図るエリアの拡大に期待されています。

非営利部門-9

民主導で進めるコウノトリの定着を目指したビオトープ整備と地域活性化の取組

発表者

森 紗綾香

所属

認定NPO法人とくしまコウノトリ基金

​連名著者

森紗綾香(認定NPO法人とくしまコウノトリ基金)/柴折史昭(認定NPO法人とくしまコウノトリ基金)/河口洋一(認定NPO法人とくしまコウノトリ基金・徳島大学大学院)

要旨

徳島県鳴門市にコウノトリが2015年から定着し始め、2023年には147個体の飛来が確認できた。2017年にはペアが1組誕生し、2023年まで連続で繁殖に成功している。新たなペア誕生に向けて年間通した餌場を確保するため、当法人や、地域農家や住民で結成した団体が中心となり、耕作放棄地を再生したビオトープを鳴門市内で合計約5ha整備している。取組は、地元農家と酒蔵と連携したビオトープ米を使った日本酒や、減農薬・減化成肥料で栽培したレンコンのブランド化へ広がり、地域の農業や産業の活性化や、地域の事業者や団体、小学校と連携したエコツアー、環境学習や観察会の実施等、地域の魅力発信の取組へと広がっている。

非営利部門-10

北九州市都市計画道路6号線(主要地方道恒見朽網線)道路改築事業 曽根干潟と水田地帯にすむ生き物との共存・共生

発表者

中野 裕香子

所属

一般財団法人 九州環境管理協会

​連名著者

藤本則彦(北九州市建設局道路建設課)/川原俊一(北九州市建設局道路建設課)/岩﨑隼人(北九州市建設局道路建設課)

要旨

北九州市門司区から小倉南区を結ぶ恒見朽網線は、総延長21kmの都市計画道路です。その一部区間(曽根新田工区)約3.1kmが2024年度内に供用開始を迎えます。曽根新田工区は、多様な生物が生息する曽根干潟に面し、その後背地の水田・畑地に道路を建設することから、生物に対する配慮、保全を行いながら工事を進めて参りました。また、新設道路は緑地帯、生物の移動路、生物へ配慮した照明の設置等の様々な保全対策を施し、道路周辺に生息する生き物と共生する道路づくりに取り組みました。これら環境保全の取り組みについて紹介いたします。

非営利部門-11

若者の多様な関わり方による地方でのグリーンインフラ管理の実践

発表者

柏本 ゆかり

所属

パシフィックコンサルタンツ株式会社

​連名著者

伊藤 渚生(MS&ADインターリスク総研株式会社)

要旨

 持続可能な社会の実現における有効な手段の一つとして自然を活用した解決策(NbS)への注目が集まっている。他方で、地域の自然を管理する担い手である保全団体等は人口減少・高齢化等による後継者不足が深刻な課題となっている。NbSによる社会課題の解決を実現するためには、担い手の長期的な確保が重要となる。
 上記を踏まえ、私たちは都市部の若者の個々のニーズに合わせた多様な関わり方により、谷津をNbSの一種に位置付けられるグリーンインフラとして管理することを試みている。本発表では、千葉県印西市における取組事例について、約1年間の活動の状況と今後に向けた課題について紹介する。

非営利部門-12

熊本県相良村ハッチョウトンボの里、再び:瀬戸堤自然生態園、再生

発表者

一柳 英隆

所属

一般社団法人球磨川NP

​連名著者

要旨

 熊本県の球磨地方では、湿地性の生物は迫の放棄水田に残存している。迫の放棄農地にある湿地の再生を、産官学民、多様な主体の連携により行っている。その一事例である、相良村瀬戸堤自然生態園の再生活動を紹介する。相良村はハッチョウトンボを村の昆虫にしており、ハッチョウトンボを指標の中心におき、流域治水の一環としての湿地での流出抑制を多面的な機能を明示することにより、企業(ボランティア、資金)、大学(研究、評価)、地方自治体(通常管理)、NGO・住民(通常管理、ボランティア受け入れ)の体制を構築し、活動を進めている。

非営利部門-13

沖縄県金武町におけるマングローブ林の持続的活用と保全に関わる包括的施策

発表者

丹羽 英之

所属

京都先端科学大学

​連名著者

仲間一(金武町長)/神田康秀(金武町役場企画課)/前田馨耶(金武町役場企画課)/丹羽英之(京都先端科学大学)/鎌田磨人(徳島大学)

要旨

沖縄県金武町の億首川のマングローブ林は生物多様性を保持するとともに、貴重な観光資源として活用されている。調査で劣化が明らかになったため、町は「第5次金武町総合計画」で持続的な活用のために保全していくことを示した。企画課を事務局に、国・県の関係部署、観光事業者、研究者らによる億首川マングローブ保全・活用推進協議会を設立し、「億首川周辺マングローブ保全再生・活用計画」を策定した。この計画のもと、苗木植栽、ガバメントクラウドファンディングによる資金調達、砂州再生のための水制工の検討を行っている。新設の金武町ツーリズム推進協議会では、ツアーコンテンツや保全のための資金調達について検討されている。

非営利部門-14

グリーンインフラを用いた災害低減技術

発表者

安原 一哉

所属

一般社団法人 地域国土強靭化研究所

​連名著者

浅田寛喜(熊本大学)

要旨

気候変動により豪雨の頻度と規模が増大しているとともに、南海トラフ巨大地震の発生リスクも年々高まっている。こうした状況の中、地域国土強靭化研究所(LRRI)では、これらの災害に対して強靭な地域国土づくりに向けた分野融合型の気候変動対応技術の開発やビジネス創設支援等を実施している。本内容においては、LRRI内の協力会社が取り組んでいる技術開発について紹介する。具体的な事例として、地域の木材を活用した液状化対策や軟弱地盤対策、リーフマットを用いて海中生物の生息場を創出する高耐久性築堤マット、及びグレーンインフラ、グリーンインフラ、ブラウンインフラを融合させた多重防御(GGB)技術の提案事例を紹介する

非営利部門-15

アジアにおける湿地に関連した伝統的または地域的なEco-DRRの事例

発表者

長倉 恵美子

所属

特定非営利活動法人日本国際湿地保全連合

​連名著者

長倉恵美子(日本国際湿地保全連合)/名執芳博(日本国際湿地保全連合)/島谷幸宏(熊本県立大学)/古田尚也(大正大学)/寺村淳(第一工科大学)

要旨

2019年度から2022年度にかけて、日本を含むアジアにおいて湿地に係る伝統的、地域的な生態系を活用した防災・減災(Eco-DRR)について具体例を調査し、ワークショップ等を経て事例集としてとりまとめた。事例集にはバングラデシュ、インド、インドネシア、フィリピン、タイ、日本の事例が掲載されている。また、その過程で作成した日本の事例の動画を紹介する。なお、事例収集等の活動にあたって経団連自然保護基金の支援を受けた。

研究者部門-1

グリーンインフラとしての都市農業の実践

発表者

​所属

連名著者

古田 尚也

大正大学

山本空洋(大正大学)/小池里英(大正大学)/千田昌子(大正大学)

要旨

東京豊島区にキャンパスを持つ大正大学では、屋上に設置した約100基のプランターなどで、年間を通じて約40種類もの作物を育てるほか、沿道が江戸時代から「種子屋(たねや)通り」と呼ばれるほど、たくさんの種子問屋が立ち並ぶ地域であった歴史を再発掘し、地元に残る種苗会社と協力し、伝統野菜を育てその歴史をまちづくりに生かす活動、近隣小学校のSDGs教育への協力、屋上農園を案内する「農園ツアー」の実施、雨庭の設置、屋上で育てたサツマイモを原料とした地域焼酎ブランド「巣鴨芋人」の開発など都市で実践可能な多様なグリーンインフラ活動を展開している。

研究者部門-2

グリーンインフラとしての都市農業をテーマとした学校でのSDGs教育の実践

発表者

​所属

連名著者

山本 空洋

大正大学

古田尚也(大正大学)/小池里英(大正大学)/千田昌子(大正大学)

要旨

都市農業のセルフビルド型レイズドベッドシステムを2種類開発した。一つは永続設置を念頭に置いたもので、あるが高さの調整が簡単にできる工夫が施されている。もう一つは、よりスペースの乏しい都心での設置を念頭に置いた、小型、移動式のタイプである。両タイプともに、だれでも同様のものが作れるよう、作成マニュアルと動画を用意した。これらのレイズドベッドは、都市型の雨庭の一つのタイプとみなすこともできることから、今後様々な場所や植物の栽培に関する試験を行い、グリーンインフラとしての機能について定量的な検証を行っていくことが課題となっている。

研究者部門-3

都市農業を対象としたセルフビルド型独立電源カメラシステムと衛星インターネット、屋外WIFIネットワークシステムの構築

発表者

​所属

連名著者

古田 尚也

大正大学

山本空洋(大正大学)/小池里英(大正大学)/千田昌子(大正大学)

要旨

都市農業では、土地利用的制約から小規模で時に遠隔地に分散配置されたレイズドベッドやプランター、屋上緑地などを、複数の人間が共同管理する必要が生じることがある。大正大学でも東京豊島区のキャンパスと埼玉県松伏町のキャンパスでこのような管理上の課題に直面し、これを克服するために安価なセルフビルド型独立電源カメラシステムと衛星インターネット、屋外WIFIネットワークシステムの構築を行った。セルフビルド型独立電源カメラシステムについては、作成マニュアルや動画も用意し、学校教育の教材などとしても活用できるように工夫を行った。また、地温、土壌水分などのさいばい関連データについてもモニタリングを行っている。

研究者部門-4

みんなでつくる、みんなのためのIoT

発表者

​所属

連名著者

佐藤 琢磨

熊本県立大学緑の流域治水研究室

要旨

 ボトムアップ型のIoT技術とは、研究者やメーカーが新たに開発した機器を持ち込むことではありません。地域の方と一緒に、いつ、誰が、どこの、どのような情報が必要であるかを一緒に考え、その機能を満たすものを、低価格でさまざまな使い方ができる製品を活用し、インフラ、知識、人手を共用しながら皆で作成、設置することです(適正技術)。
 その技術は防災を超えて、福祉、医療、農業、林業、観光などに使われ、地域がこれからもあり続けるために地域の弱者を取り残さないために展開されるプロジェクトです(地域DX)。

研究者部門-5

若者による放棄地再生 ― 地域とともに取り組む農と食の再構築

発表者

​所属

連名著者

中川 智裕

熊本県立大学

吉田あかね(熊本県立大学)/田尻美千子(熊本県立大学)/一柳英隆(熊本県立大学)/島谷幸宏(熊本県立大学)

要旨

水田は単に食糧生産の場としてだけでなく、さとやま景観を構成する生態系の一つとして、高い生物多様性を呈し、さらに治水や伝統文化の保存など重要な機能を有する。しかし、人口減少の著しい中山間地域を中心に、水田の耕作放棄や土捨て場への転用などによって、水田が有する多面的な機能の喪失が危惧される。したがって、中山間地域の水田を誰がどのように維持管理していくかは、その流域における重要な課題である。本団体は、流域治水と生物多様性保全を実践することを目的に、熊本県内の中山間地域の休耕田を再生し、農作物の栽培、地域の郷土料理伝承など、様々な活動を行っている。本報告では、その活動について紹介する。

研究者部門-6

緑の流域治水スタディツアー

発表者

​所属

連名著者

政金 裕太

信州大学

上原三知(信州大学社会基盤研究所) / 宮野英樹(地方経済総合研究所)

要旨

2020 年7 月に起きた球磨川流域での水害を契機に、日本科学技術振興機構(JST)のCOI-NEXT 地域共創拠点・本格型として採択された「流域治水を核とした復興を起点とする持続社会(地域共創流域治水)」プロジェ クトが始まった。本プロジェクトでは地域に若者が残り集うため魅力的な仕事があることが重要であると考え、産業創成も重要な目標のひとつとして取り組 んでいる。緑の流域治水スタディツアーはこの産業創成の一環として2023 年7 月に始まった。始から約半年で100名近くが参加し、現場での学びを通して流域治水への理解が深まり始めている。

研究者部門-7

伝統知・地域知を活かした防災と住まい方➀

発表者

​所属

連名著者

寺村 淳

第一工科大学

要旨

災害頻度の高い日本では,全国各地で災害に備えた生活様式や防災技術が数多くみられる.
なかでも九州は,大雨・台風・地震など様々な災害が多発する地域でもある.
災害は台風や地震などの現象と地域固有の特性が合わさり発生する.一方で,地域に特徴的に発生する災害に対して,それぞれの地域において多様な対策が見られる.
それらの多くは,その地に生活してきた人々が,繰り返す被災経験から地域の自然資源や地形などを活用した防災技術である.
本件では,緑の流域治水に取り組み始めた球磨川流域をはじめとする,九州の伝統的な防災的住まい方についてまとめた.1/3

研究者部門-8

伝統知・地域知を活かした防災と住まい方②

発表者

​所属

連名著者

寺村 淳

第一工科大学

要旨

災害頻度の高い日本では,全国各地で災害に備えた生活様式や防災技術が数多くみられる.
なかでも九州は,大雨・台風・地震など様々な災害が多発する地域でもある.
災害は台風や地震などの現象と地域固有の特性が合わさり発生する.一方で,地域に特徴的に発生する災害に対して,それぞれの地域において多様な対策が見られる.
それらの多くは,その地に生活してきた人々が,繰り返す被災経験から地域の自然資源や地形などを活用した防災技術である.
本件では,緑の流域治水に取り組み始めた球磨川流域をはじめとする,九州の伝統的な防災的住まい方についてまとめた.2/3

研究者部門-9

伝統知・地域知を活かした防災と住まい方③

発表者

​所属

連名著者

寺村 淳

第一工科大学

要旨

災害頻度の高い日本では,全国各地で災害に備えた生活様式や防災技術が数多くみられる.
なかでも九州は,大雨・台風・地震など様々な災害が多発する地域でもある.
災害は台風や地震などの現象と地域固有の特性が合わさり発生する.一方で,地域に特徴的に発生する災害に対して,それぞれの地域において多様な対策が見られる.
それらの多くは,その地に生活してきた人々が,繰り返す被災経験から地域の自然資源や地形などを活用した防災技術である.
本件では,緑の流域治水に取り組み始めた球磨川流域をはじめとする,九州の伝統的な防災的住まい方についてまとめた.3/3

研究者部門-10

比良山麓の伝統知・地域知ー「カワト」と「イケ」の仕組みからみる水資源の活用

発表者

​所属

連名著者

大原 歩

京都大学

王聞(京都大学)/中井美波(京都大学)/深町加津枝(京都大学)

要旨

全国各地には災害を前提とした土地利用や暮らし方によって被害を少なくしてきた事例が多数あり、生態系を活用した防災・減災(Eco-DRR)のあり方に注目が集まっている。地域の自然や文化を活かした暮らしと調和的であり、且つ過去から受け継がれてきた災害対応の地域知・伝統知を活かしていく必要がある。本研究では、比良山麓の守山地区を対象に、水資源とその利活用の仕組みを把握するため、聞き取り調査や現地調査を行った。山水を生活用水として利用する「カワト」と、湧水を生活利用・水量管理するための「イケ」の仕組みを明らかにし、人と水との身近で多様な関係を育んできた暮らしに根ざす伝統知・地域知を明らかにする。

研究者部門-11

Eco-DRRに向けて滋賀県比良山麓の地場石材を活用した伝統知・地域知

発表者

​所属

連名著者

王 聞

京都大学地球環境学堂

中井美波(京都大学地球環境学堂)/大原歩(京都大学地球環境学堂)/深町加津枝(京都大学地球環境学堂)

要旨

比良山地では急峻な山々が連続し、様々な河川は扇状地をぬけ琵琶湖に注ぐ。一方、大雨が降ると土石流や洪水等の自然災害が起こり、比良山麓に暮らす人々は災害対応のための様々な工夫を行ってきた。集落周辺から産出される地場石材は、こうした自然災害を防ぐための堤や水路、人家・棚田の石積等に利用された。このような石材利用は、Eco-DRRに向けて防災・減災の機能を発揮しつつ、地域の経済的な発展や景観の創出に寄与している。本研究では、比良山麓の有名な採石地である守山・南小松集落を対象とし、現存する石構造物の分布状況と土地利用の関係を解明し,地場石材の利用の特徴を把握した上で、その継承や再利用について検討した。

研究者部門-12

比良山麓の伝統知・地域知−江戸期と明治期の山林の植生と資源利用

発表者

​所属

連名著者

中井 美波

京都大学地球環境学堂

王聞(京都大学地球環境学堂)/大原歩(京都大学地球環境学堂)/深町加津枝(京都大学地球環境学堂)

要旨

比良山麓では集落の背後に大面積の森林が分布し、伝統的な集落にはアカマツ、スギ、ヨシなどの山林資源が多く使われており、社寺にはカツラやスダジイなどの大木を含む樹林地があった。一方で、自然・社会環境が変化する中で地域の里山景観が大きく変化してきた。1970年代以降、集落周辺などに里山林として利用されてきたアカマツ林やアベマキ・コナラ林などが分布していたが、中腹は大面積のスギやヒノキの植林地で覆われている。地域の山林資源利用に関する伝統知・地域知を把握するため、大津市八屋戸の守山地区を事例に、地域の暮らしや生業が周囲の自然と密接に関わっていた江戸期と明治期の植生や自然資源の利用の特徴を明らかにした。

研究者部門-13

阿蘇地域における植生が有する防災機能の評価

発表者

​所属

連名著者

浅田 寛喜

熊本大学

皆川朋子(熊本大学)

要旨

近年、災害リスクを低減する手法の一つとして、生態系を活用した防災(Eco-DRR)が注目されている。特に土砂災害に関しては、植生は根系を通じて土壌の強度を高め、表層崩壊のリスクを低減することが知られている。しかし、草原や森林などの植生の違いが表層崩壊の発生確率や崩壊深度に与える影響を定量的に評価した研究はほとんどみられない。そこで本研究では、熊本県阿蘇地域を対象として、表層崩壊の発生確率や崩壊深度に影響を与える地形や地質、植生及び雨量等のデータを収集し、ランダムフォレストモデルを構築した。その結果、草原は森林と比較して発生確率は高いが、崩壊深度は小さいことが明らかとなった。

研究者部門-14

聞き書きから作成したデータベースの活用のすすめ:植物がもたらす生態系サービス解析

発表者

​所属

連名著者

小川 みふゆ

東京大学

八嶋桜子(東京大学)/ 篠原直登(京都大学)/吉田丈人(東京大学)

要旨

 自然の世界的な劣化に対して、自然と文化の両面の多様性の保全が求められている。世代を超えて伝わる伝統知と地元コミュニティに特有な地域知は、生態系サービスや生態系管理の実践のために重要な知識基盤とされているが、世界的に見て情報収集が遅れている。日本では伝統知・地域知を有する使い手が高齢者となり、知識の収集が急がれている。「聞き書き甲子園」は、高校生が生態系管理や植物の利用に関して豊富な経験・技術・知識を持つ名人を訪ねて聞き書きをまとめるプロジェクトである。本研究では、高校生の聞き書き1273話を解析し、今も使われている伝統知・地域知の実態を報告する。

研究者部門-15

自然の恵みと災いの地域文化:生態系を活用した防災減災(Eco-DRR)の視点から

発表者

​所属

連名著者

吉田 丈人

東京大学・総合地球環境学研究所

吉田丈人(東京大学・総合地球環境学研究所)

要旨

生態系を活用した防災減災(Eco-DRR)という用語は近年使われだしたが、日本に古くからある考え方である。伝統的な災害対応では、自然がもたらす災いが起きる場所や災いの特性をよく理解したうえで、生態系や生物多様性がもたらす豊かな恵みを失わない配慮や工夫がなされてきた。しかし、残念ながら、地域文化とも言える伝統的な災害対応は失われていく一方である。総合地球環境学研究所Eco-DRRプロジェクトによるシリーズ「地域の歴史から学ぶ災害対応」では、日本各地で今なお活躍する伝統的な災害対応の事例を収集し、現代社会における意義を分析し、地域での保全や活用の方策を検討している。本講演では、これを紹介する。

研究者部門-16

南阿蘇村の石垣文化と継承に向けた実践活動

発表者

​所属

連名著者

田浦 扶充子

九州大学

樋口明彦、國谷恵太、吉田嵩寛、稲垣悟、髙石裕人、石田航太郎、小俣慎太郎、田浦扶充子(九州大学)/豊東翼(中央復建コンサルタンツ株式会社)/南阿蘇村

要旨

南阿蘇村の集落内には総延長120kmもの石垣が残されており、これらの石垣は阿蘇の文化的な遺産である。景観的・文化的価値を明らかにするため、村全域を対象に分布調査、当時の状況の聞き取り調査、現存する石垣を崩しながら構造を調べる解体調査を行い、数の多さや多様な石材・石積みの文化があることを明らかにした。また、2023年からは南阿蘇村と協力し、地域の建設業者の方々を対象に、解体した石垣を積み直す「研修会」を開催している。体験を通じて、自ら南阿蘇らしい石垣を積めるようになることを目標として実践しており、これまで延べ約30人が参加した。

研究者部門-17

地域住民による河道内植生管理によって生まれたオープンスペースの効果

発表者

​所属

連名著者

伊豫岡 宏樹

福岡大学工学部

中野 健人(国土交通省九州地方整備局)

要旨

樋井川では、地域住民の主体的な草刈りによって維持されている区間があり、新たなオープンスペースとして機能し始めている.河道内空間の利用が促進されることによってイネ科植物の成長速度は抑えられる傾向があり、踏圧の影響のある場所での草丈が膝丈程度の40~50cmもしくは踏圧の影響のない場所で1mを超えると大幅に利用者数が減少しており、利用が期待される草丈を維持するためには初夏から夏季にかけては月一回程度の高頻度な草刈りが必要と考えられた.このような高頻度の管理は一般的な行政による河川管理では難しく,地域主体の河道空間管理の効果は極めて大きいといえる.

研究者部門-18

山地河川を対象にした多自然川づくり:山附川の事例

発表者

​所属

連名著者

髙田 浩志

熊本県立大学

佐藤辰郎(九州産業大学)/ 劉義涛((株)建設環境研究所)/島谷幸宏(熊本県立大学)

要旨

平成9年の河川法改正から,河川改修の目的には「河川環境の整備と保全」が追加され,多自然川づくりが行われている。およそ20年の取り組みにより,中小河川の改修技術は「多自然川づくりポイントブックⅢ」「美しい山河を守る災害復旧基本方針」などに取りまとめられている.
しかし,山地部や源頭部は土砂の生産源が近く,勾配が急であることから河道を安定させることが難しい.そのため環境と両立を狙った事例で確認されているものも日本では3例と極めて少ない.本ポスターでは,そのうちの一つである宮崎県の山附川を対象にした多自然川づくりの改修の工夫と河川の環境機能と治水機能を紹介する.

研究者部門-19

土地利用種・土地被覆・土地利用形態と雨水流出を軸にしたGI形成のシナリオ分析

発表者

​所属

連名著者

田中 亮平

東京農業大学 地域環境科学部 造園科学科

福岡 孝則(東京農業大学 地域環境科学部 造園科学科)/片桐 由希子(金沢工業大学 工学部 環境土木工学科)

要旨

流域単位でのGI実装の機運が高まる中、自治体内での連携が課題とされ、各部署・事業の実装効果の可視化のために、実装実績や土地被覆転換の実現性等をシナリオに反映できる精度の土地分類が必要である。本研究ではGIの社会実装に向けた土地分類の緻密化の有用性について知見を得るため、横浜市大岡川上流域の小流域を対象に、土地利用種・土地被覆・土地利用形態の3段階の枠組みの土地分類を軸に、①雨水流出抑制を検証するGI形成のシナリオ分析フローにおける条件や指標の設定に用いる土地分類の詳細度に応じて得られる情報、②土地利用形態レベルの情報を用いた各事業に即したGI形成のシナリオによる雨水流出抑制効果の比較を行った。

研究者部門-20

都市域での流域治水「雨庭」:熊本県の事例紹介

発表者

​所属

連名著者

髙田 浩志

熊本県立大学

島谷幸宏(熊本県立大学)/熊本県

要旨

気候変動により洪水リスクが高まる中,流域治水という洪水対策が推進されている。雨庭は,個人でできる簡単かつ効果的な流域治水対策である。窪地に屋根の水を導水し,浸透させることで川へと急に流入することを防ぐ。また雨庭に植物を植えることで,景観・生物保全へとつなげることもできる。本ポスターは,熊本県と熊本大学が協働で実施した雨庭の効果検証の取り組みと普及啓発活動について紹介している.熊本県が造成した雨庭は,240m²の範囲に降る雨を34m²の雨庭に導水することで瞬間的な流出量の77%をカットできた。また,観測期間中736mmの雨を観測し,推定で201m³の浸透を確認した.

研究者部門-21

雨庭の流出抑制効果の検証 ~熊本県立大学内雨庭の事例~

発表者

​所属

連名著者

田浦 扶充子

九州大学

田浦扶充子(九州大学)/島谷幸宏・髙田浩志(熊本県立大学)

要旨

屋根に降った雨水を下水道に直接放流することなく一時的に貯留・浸透させる構造をもつ「雨庭」。このような雨庭の実施例は急速に増加しているが、実測研究は国内外ともに少なく、技術として発展途上であり、量的な目安が充分に明らかにされていない。熊本県立大学内に設置した広さ35㎡の雨庭では、隣接する体育館の屋根の一部約178㎡に降る雨を流入させ、貯留・浸透によって流出抑制を行っている。完成後1年5カ月のモニタリングでは、降雨量に対して89%もの抑制効果をはかっていること、水源涵養効果が高いことがわかってきた。

研究者部門-22

伝統的枯山水の機能評価と現代雨庭のデザイン

発表者

​所属

連名著者

山下 三平

九州産業大学

山下三平(九州産業大学)/森本幸裕(京都大学名誉教授)/阿野晃秀(京都先端科学大学非常勤講師)/丹羽英之(京都先端科学大学)/深町加津枝(京都大学)/佐藤正吾(公益社団法人京都市都市緑化協会)/横田雅紀(九州産業大学)/佐藤辰郎(九州産業大学)

要旨

日本で雨庭を普及させるためには,欧米の形式を単純に移入するのではなく,我が国の雨庭の先駆けと考えられるような,伝統的な雨水管理の事例を見出し,その特性と機能を明らかにして,それに基づいて雨庭をデザインするのが持続的と考えられる.本研究は19世紀初頭に整備され,その後大きな改変を受けることなく雨水を貯留・浸透させてきた枯山水庭園を取り上げる.実測によるその機能評価を行い,機
能発揮の条件を調査したうえで,新しい雨庭の実装と機能の実測評価を試みる.

研究者部門-23

雨庭の普及に向けたソーシャルデザイン―雨庭パートナーシップー

発表者

​所属

連名著者

所谷 茜

熊本県立大学緑の流域治水研究室

島谷幸宏(熊本県立大学)/熊本県

要旨

近年の豪雨の増加や災害の激甚化を踏まえ、治水対策は、流域全体であらゆる関係者が協働して水災害対策を行う「流域治水」へと転換しはじめた。流域治水の要素技術の一つである雨庭は、屋根に降った雨水を下水道に直接放流することなく一時的に貯留・浸透させることで流出抑制を行う。個人で整備することもできるうえ、地下水涵養、生物生息地の創出、ヒートアイランド現象の緩和、水質浄化、景観向上など多様な機能を持っているが、日本では広く普及していない。そこで、産官学民が連携する普及キャンペーン運動をデザインし、実施した。本研究では、本運動の理念、実際の活動の展開を示し、その特徴から雨庭普及に向けた方法を明らかにする。

研究者部門-24

遊水池設置による下流域の洪水被害軽減に対する上流域の住民の選好

発表者

​所属

連名著者

柘植 隆宏

上智大学

大沼あゆみ(慶應義塾大学)

要旨

遊水池等のグリーンインフラを活用した治水は、空間的にグレーインフラより規模がはるかに大きくなるため、様々な利害関係が発生する。そのためグリーンインフラを活用することで、不利益を被る人々が発生する可能性がある。本研究では、遊水池の設置を事例として、上流域の住民の下流域の被害軽減や合意形成に関する選好を、選択実験とベストワーストスケーリングの2つの選好分析手法を用いて明らかにする。2022年3月に、過去に水害が発生した水系の上流地域の市町村の住民を対象にWebアンケートを実施し、2104人から回答を得た。分析の結果、上流域の住民は下流域の洪水被害軽減を非常に重要と考えており、強い利他性を示すことが

研究者部門-25

でかスギガードレール

発表者

​所属

連名著者

田浦 扶充子

九州大学

樋口明彦、吉田嵩寛、國谷恵太、石田航太郎、小俣慎太郎、稲垣悟、髙石裕人、田浦扶充子(九州大学)/南阿蘇村/阿蘇森林組合/九州木材工業

要旨

阿蘇地域では戦後復興によって植林されたスギ・ヒノキ林が面積の1/3を占め、建築用材として利用されず、育ちすぎたスギの大径木が大量に残されている。この育ち過ぎたスギの大径木を「でかすぎるスギ」=「でかスギ」と呼ぶことにし、木製ガードレールとしての実用化を目指している。九州大学は阿蘇森林組合と協力し、資源量調査やプロトタイプ実装による現地施工実験、観光客へのアンケート調査を実施した。でかスギガードレールの実現によって、大量の炭素固定による脱炭素社会への推進、地域資源循環が期待される。さらに、地場木材産業の活性化や、世界遺産へ向けた景観の形成、適切な森林管理への貢献など、多様な効果を期待している。

研究者部門-26

人と地球に優しいバリアフリー杉デッキ歩道

発表者

​所属

連名著者

羽野 暁

九州大学キャンパスライフ・健康支援センター

樋口明彦(九州大学)/大枝良直(九州大学)/榎本碧(寒地土木研究所)

要旨

本歩道は、「誰一人取り残さない」社会の実現に貢献する新しい歩道です。最大の特徴は、コンクリートやアスファルトと全く異なる木材の音響特性に着目して視覚障害者の安全性を高めていることです。視覚障害者は、白杖で路面を叩いた打音により車道と歩道の違いを容易に確認することができます。これまで木材はインフラ整備において敬遠されてきましたが、新開発の木材防腐処理技術を施した本歩道の使用木材は、一般的な舗装材料と同等の耐久性を有しています。柔らかい素材で熱伝導率が低い杉デッキ歩道は、視覚障害者にとどまらず、車椅子利用者や高齢者、ベビーカー、ペットに至るまで、多くの利用者のウェルビーイングを実現します。

研究者部門-27

知っておきたいラムサール条約の世界

発表者

​所属

連名著者

鈴木 詩衣菜

聖学院大学

要旨

国際社会の法といわれる国際法において、防災や減災は人間安全保障の観点から検討されてきた。しかし、近年においては、自然災害とりわけ水災害の激甚化とともに、生態系を活かした防災や減災の考え方を取り入れることが、さまざまな環境条約に要請されている。
本ポスターでは、環境条約の中でも特に、湿地保全に関するラムサール条約を手掛かりに、湿地のひとつである「河川」の法的位置づけを明らかにし、自然生態系をいかした流域治水(緑の流域治水)と環境条約がどのように関係するのかを整理した。緑の流域治水を促進することが、国家に要請されている条約の国内実施に貢献し、環境条約が掲げている目標達成の一助となることを示した。

研究者部門-28

Simulation of Flood Waveform Deformation with Green Infrastructure for River Restoration

発表者

​所属

連名著者

SADAT SAYED HASHMAT

Nagoya Institute of Technology

サダト セイェド ハシェマット(名古屋工業大学)/萱場祐一(名古屋工業大学)

要旨

Different river restoration scenarios on a segment of the Yoshio River in Kumamoto Prefecture of Japan were investigated using iRIC-Nays2DH. It was found that through green infrastructure restoration the flood peak travel time can be increased to about 175% compared to the original peak travel time.

学生部門-1

森の教室project

発表者

​所属

小島 綾子

聖パウロ学園高等学校

連名著者

大泉 佑樹(聖パウロ学園高等学校) / 金城 蒼平(聖パウロ学園高等学校) / 金丸 結衣(聖パウロ学園高等学校) / 松永 琴美(聖パウロ学園高等学校) / 渡邉 葉月(聖パウロ学園高等学校)

要旨

聖パウロ学園高等学校は都内有数の広大な学校林を有する。その学校林の有効活用を生徒主体で考え、「森の教室」を作ろうというプロジェクトが2023年の2月に始まった。ランドスケープアーキテクトの方々に相談をしながら、地域で活動する複数の団体の方たちにお手伝いいただき、私たちの「森の教室」を形作っている。場所の選定から、下草刈り、ウッドデッキの板を張ることなど、初めての経験や作業ばかりだったが、協力してくださる大人の助けを得て、学びの場を作ることができてきている。まだ、現在進行形で様々な作業を継続しており、話し合いを重ねて「森の教室」を完成させたいと考えている。

学生部門-2

教育教材技術普及のためのマニュアル・動画作成

発表者

​所属

小池 里英

大正大学

連名著者

古田尚也(大正大学)/山本空洋(大正大学)

要旨

大正大学では、都市農業をテーマとしたグリーンインフラ活動の実践の中で、教育支援NGOと連携した小中学生への教育活動への展開や、近隣の小学校(豊島区立朝日小学校)と連携した、SDGs教育プログラムの開発と実践を行っている。さらに、2023年度には近隣の私立中学校・高校のSDGs教育との連携も行った。こうした経験を踏まえ、大学のキャンパスで行う都市農業をテーマとしたグリーンインフラ活動の初等教育・中等教育におけるSDGs教育との連携可能性について紹介する。

学生部門-3

近江富士花緑公園における仮設式雨庭の実装と効果検証

発表者

​所属

植平 隆暉

京都産業大学 生命科学部 産業生命科学科

連名著者

西田貴明(京都産業大学)/木田幸男(グリーンインフラ総研・東邦レオ株式会社)/大庭義也(東邦レオ株式会社)/多賀洋輝(株式会社バイオーム)

要旨

近年、雨庭の実装事例が増加する一方で、日本で実装されている雨庭は地面の掘削工事を必要とする大規模なもの(常設式)に限定されている。これは防災インフラとしての機能は高いが、掘削工事を必要とするため実装のハードルが高く、特に公園などの公共スペースに実装するためには合意形成に大きなコストがかかる。そこで、本研究では暫定的な設置が可能な仮設式雨庭を設計し、滋賀県にある近江富士花緑公園に実装し、仮設式雨庭の雨水流出抑制効果と合意形成ツールとしての実用性を検証した。

学生部門-4

球磨モンの水土林プロジェクト「雨庭の普及に関する基礎的研究」

発表者

​所属

西村 武之

熊本県立南稜高等学校総合農業科

連名著者

西村武之/片山大誠/西彩名/田上友也/瀬戸口海斗/千代島美花/次松秀真/橋本譲希/平原阿紋/前村京威/松永望愛/吉野智貴

要旨

令和2年7月3日未明から降り続いた大雨により、球磨川やその支流で氾濫が生じた。これにより、浸水・家屋倒壊が7400棟、そして約50名もの尊い命が奪われた。
 これまでに治水効果が期待できる田んぼダムや普及活動、森林の治水効果等の研究に取り組み、洪水時の河川の急激な増水を軽減させ、避難時間の引き延ばしに繋がることが分かった。そして、これらの活動に加えて新たに雨庭の効果について研究を開始した。雨庭とは、庭にくぼ地を設けて屋根に降った雨水をそこに集め、地下浸透させるシステムである。
 雨庭を本校敷地内に施工し、機能や効果を確認していくとともに、雨庭を地域へ普及し、地域の減災活動に貢献していきたい。

学生部門-5

ボタニカルライト(植物による発電)を用いた緑化植物の検討

発表者

​所属

山下 真奈

東京農業大学

連名著者

入江彰昭(東京農業大学)/大塚淳一(株式会社グリーンディスプレイ)

要旨

株式会社グリーンディスプレイと株式会社ニソールが共同で開発中のボタニカルライト※(植物による発電)は、植物の周りに存在する微生物の循環から発生するエネルギーを効率よく電極に集めて発電する技術である。本研究では、ボタニカルライトの社会実装に向けて、植物の違いによる発電する電圧値の変化を調査し、微生物発電の技術を都市のグリーンインフラとして、都市緑化植物に応用するための知見を得ることを目的とした。その結果、対照区(土壌のみ)に比べて植物のある区域では電圧値が高いこと、都市緑化植物の種類(高木・低木・地被、落葉・常緑)によって電圧値に違いがあることが明らかとなった。※登録商標。

学生部門-6

街路樹の多機能性、特に緑陰効果と樹幹流による雨水貯留機能

発表者

​所属

武田 一晃

東京農業大学

連名著者

入江彰昭(東京農業大学)/田崎一宏(前田道路株式会社)

要旨

本研究は街路樹の多機能性を評価するために、キャンパス内の樹木(ケヤキH17mC1.7mW12m・モミジバフウH10mC0.8mW6m)を対象に緑陰効果と樹幹流による雨水貯留機能を明らかにした。その結果(2023年7月)、対照区(日なた)と比べてケヤキ樹冠内(幹から2m)、モミジバフウ樹冠内(幹から1m)ではWBGT温度は日中4~6℃低く、夜間は同程度になること、地表面温度は日中15~25℃低く、夜間も3~5℃低くなること、幹から距離の長さに応じて日照時間が増え温度低減が小さくなることを明らかにした。また1時間当たりの降雨強度に対するケヤキとモミジバフウの樹幹流による雨水貯留量を明らかにした。

学生部門-7

犬が公園緑地にもたらす社会的効果の評価と提案

発表者

​所属

竹下 明日香

京都産業大学 生命科学部 産業生命科学科 環境政策学研究室

連名著者

要旨

日本では2008年をピークとした人口減少社会や若者層の大都市への集中等で社会資本が進む一方、公園維持管理費用の減少による公園の老朽化による問題や異常気象で、公園緑地の防災・減災等の機能が注目され、公園のリノベーションや価値に期待が高まっている。公園緑地の効果を発揮させ、公園緑地の価値を高めるまちづくりが重要視される中、公園緑地を日常的に利用する犬連れのコミュニティ効果や経済効果により、さらに公園緑地の価値を高めることができるのではないかと考えた。本研究では京都市上京区に位置する京都御苑でアンケート調査を行い、その分析結果をもとに犬連れの社会効果を高める公園緑地内やその周辺地域のまちづくりを提案

学生部門-8

慶應義塾大学Satoyama Fujisawa Campusプロジェクト

発表者

​所属

中山 大輝

慶應義塾大学環境情報学部

連名著者

湯浅拓輝/川上仁之(慶應義塾大学政策・メディア研究科)/鈴木勇登/陶川祐輔/田中あかり/黒木美花/宮田和真(慶應義塾大学環境情報学部)

要旨

慶應義塾大学湘南藤沢キャンパスは、地域でも特に生態系が豊かな土地であり、藤沢市に残された貴重な生物多様性の拠点として大きな生体学的・文化的価値がある。慶應義塾大学は2023年5月より30by30アライアンスに加盟し、30by30実現に向けてOECMに基づいた活動を始めている。OECMの認定条件には、所在地での環境モニタリングを実施し、エビデンスに基づいた自然保護の実践が求められている。本プロジェクトでは、2015年より湘南藤沢キャンパスを対象とした生物相の調査、外来植物の駆除作業などを実施し、良好な生物生息空間の維持に努めてきた。本ポスターセッションでは、これまでの活動の成果を紹介する。

学生部門-9

川辺川における水害防備林の実態と氾濫流抑制機能に関する研究

発表者

​所属

徳永 至

熊本大学大学院 自然科学教育部 土木建築学専攻

連名著者

伊東 麗子(熊本大学)/浅田 寛喜(熊本大学)/皆川 朋子(熊本大学)

要旨

空中写真を用いた水害防備林の判読から現在の総面積は29.9haであり1976年比の残存率は84.0%であった.また,現地調査を行って構成樹種がホテイチク等の竹であることを明らかにし,密生度値とNDVIに相関関係がみられたことから衛星データを活用することでコストを要する現地調査なしに水害防備林を表現可能とした.水理シミュレーションにおいてもNDVIを用いて水害防備林の粗度係数を設定し,流速と浸水深に与える影響を評価した.浸水深には大きな影響はなかったものの,氾濫し始める箇所に水害防備林が配置されている場合や水害防備林背後で3.0m/sを超える高い流速に対して0.5~2.0m/sの低減がみられた.

学生部門-10

人吉盆地流入河川の水害防備林の地域資源としての価値評価

発表者

​所属

三苫 千春

熊本大学

連名著者

中島幸香(熊本大学)/浅田寛喜(熊本大学)/皆川朋子(熊本大学)

要旨

本研究では、ECO-DRRの1つである水害防備林の地域資源としての価値をアンケート調査によって評価した。対象流域は、水害防備林が多く現存する人吉盆地流入河川の万江川と川辺川の2流域とし、流域の各市村の浸水想定区域と水害防備林との位置を考慮し、計400世帯に配布した。評価項目は、水害防備林の認識、竹の利用など計24項目である。調査の結果,水害防備林の名称と役割の両方を認識している人は10.0%であり認知度は低かったのに対し、竹を食用や材料、空間として利用したことがある人は73.7%であった。また、回答者の属性や回答項目の相互関係や因果関係が明らかになった。

学生部門-11

谷津の機能に対する支払意思額に関する基礎的研究

発表者

​所属

武田 佳明

熊本大学工学部土木建築学科

連名著者

浅田寛喜(熊本大学)/皆川朋子(熊本大学)

要旨

本研究では,谷津の活用促進,地域住民との合意形成等を行う上での基礎情報を得ることを目的として,地域住民を対象としたアンケート調査により,谷津の機能を定量的に評価し,個人属性が支払意思額に及ぼす影響を分析した.その結果,「水質浄化」に対する支払意思額の平均値が最も高かった.機能に対する支払意思額と,機能に対する重要度,豪雨被災経験には有意な正の相関がみられたが,世帯収入,環境への保全意思,居住年数,流域治水の理解度との有意な関係は見られなかった.今後,球磨川流域において谷津が分布していない山間狭窄部や河口部においてもアンケート調査を実施し谷津の価値評価を行っていく予定である.

学生部門-12

球磨盆地周辺流域における迫放棄田を活用した流出抑制及び湿性生物生息場機能の評価と強化策の検討 ―相良村瀬戸堤自然生態園を対象に―

発表者

​所属

新垣 俊介

熊本大学

連名著者

伊東麗子(熊本大学)/浅田寛喜(熊本大学)/皆川朋子(熊本大学)

要旨

迫放棄田である相良村瀬戸堤自然生態園を選定し,流出抑制及び湿性生物生息場について現況評価を行い,強化策について検討した.現地調査の結果、植物は全135種が確認された。同時に行った環境調査から土砂堆積した箇所や、水分状況が把握された。現況の地形を基に水理シミュレーションを行った結果、2年確率降雨では全域で浸水が確認された。植物調査の結果からクラスター解析行った結果、上流・中流・下流の3つのグループに分けられた。流出抑制強化策として、堆積土砂を除き掘り下げることで約50%の流出抑制効果が予測された。今後、強化策をもとに重要種の保全・拡大を行い流出抑制効果を継続的な現地観測により評価していきたい。

学生部門-13

球磨川水系免田川,井口川流域に導入された田んぼダムの流出孔を考慮した流出抑制効果の予測評価

発表者

​所属

野口 航輝

熊本大学

連名著者

浅田寛喜(熊本大学)/皆川朋子(熊本大学)

要旨

本研究では,球磨川水系免田川,井口川流域に導入された田んぼダムの流出孔(50,60,70mm)を変化させた場合の流出抑制効果をシミュレーションにより評価した.田んぼダムは計画対象の免田川流域23ha(流域面積の0.5%),井口川流域99ha(7.1%)に設定した.その結果,10・30年確率降雨では両流域ともに流出孔50mm,80年確率降雨では免田川流域で70mm,井口川流域で60mmの田んぼダムで最も浸水面積が減少した.令和2年7月豪雨相当では両流域ともに浸水面積は水田地帯にて増加しており,田んぼダムからの溢水が原因と考えられた.河川の流出抑制効果は井口川で30年確率降雨時に最大となった.

学生部門-14

堤内地における流域治水対策導入による人吉市市街地の浸水被害低減効果の予測評価

発表者

​所属

津田 拓海

熊本大学

連名著者

浅田寛喜(熊本大学)/皆川朋子(熊本大学)

要旨

本研究では人吉市街地を対象に,貯留・浸透及び氾濫流制御を導入することで,どの程度の降雨に対して有効的な流域治水対策となるのか及び費用対効果を定量的に評価することを目的に,シミュレーションを用いて検討した.その結果,どの流域でも,雨庭,田んぼダム,雨水貯留の順にピークカット量が見られた.浸水域に関して,田んぼダムの場合,30年確率までの降雨に対して浸水域の低減がみられた.雨庭,道路嵩上げの場合,80年確率までの降雨に対して浸水域の低減がみられ,最大で52.1 ha(32.1%),57.7 ha(33.4%)低減した.費用対効果は田んぼダムが1.23,雨庭が0.35,道路嵩上げが1.43となった.

学生部門-15

筑後川中流平野右岸圏域における災害復旧事業が筑後川本川流量に与える影響

発表者

​所属

徳永 茉咲

九州大学大学院工学府土木工学専攻

連名著者

林博徳(九州大学大学院工学研究院環境社会部門)

要旨

平成29年7月九州北部豪雨により、筑後川中流平野右岸圏域の支川において浸水被害が頻発し、現在支川の改修が行われている。改修は各支川の氾濫や洪水被害低減を主目的としているが、その改修が筑後川本川流量に与える影響は明らかになっていない。本研究では、筑後川中流平野右岸域の支川改修により筑後川本川の流量がどの程度変化するか明らかにすることを目的に、支川改修前後の氾濫解析シミュレーションを行った。その結果、自然堤防地帯を流れる緩勾配の支川では、流下能力を高める改修により流量がピークに達する時間が早くなり、その影響が筑後川本川に現れうることが明らかになった。

学生部門-16

段階的に間伐整備が進む森林における洪水流出率の経年変化

発表者

​所属

佐藤 辰郎

九州産業大学

連名著者

太田航輔(九州産業大学)/佐藤辰郎(九州産業大学)

要旨

近年の気候変動に伴い、洪水災害の頻発と激化が問題となっている中、国土交通省は従来の河川内対策から流域全体を対象とした流域治水への転換を表明した。流域治水の一環として田んぼダムや森林整備が挙げられるが、その効果に関する科学的データは不足している。本研究では、熊本県にある育水の森で実施された段階的な森林整備が洪水の直接流出や流出率に与える影響を水文観測データをもとに解析し、森林整備が進むにつれて洪水流出量が減少する傾向があることを明らかにした。全体として,流出率は0~0.17程度と低い値を示し,これは対象流域の地質が,浸透能の高い火山性の地質で構成されていたことが影響したものと推測された。

学生部門-17

里山環境の都立公園における秋のホンドタヌキの活動

発表者

​所属

李 聡

東京農工大学大学院連合農学研究科

連名著者

山下洋平(NPO birth)/周浩羽(東京農工大学大学院連合農学研究科)/金子弥生(東京農工大学大学院農学研究院)

要旨

里山環境は、ホンドタヌキ(Nyctereutes procyonoides viverrinus)生息環境のひとつである。タヌキの里山環境における選好性を調べるために、都立野山北・六道山公園において、2023年の秋に、巣穴、けもの道、水辺、草地に15台のカメラトラップを設置した。その結果、タヌキは全ての環境に現れ、活動ピークは19-21時の主にけもの道で記録された一山型であり、既存研究の薄明薄暮型と異なっていた。採餌行動は草地で最も多く観察され、次は水辺であった。秋の日没後すぐの高い活動は、当歳仔の分散時期の移動や、越冬に備えた体脂肪蓄積のための餌場への移動に影響されたものと考えられる。

学生部門-18

歴史的水利施設廻水路の有するグリーンインフラ機能~希少魚類生息場機能を例に~

発表者

​所属

山﨑 庸平

九州大学

連名著者

林博徳(九州大学)/鹿野雄一(九州大学)

要旨

本研究では旧藩時代に発達し、豊かな生物多様性を有する矢部川の廻水路及び矢部川支流において希少種のアリアケギバチの個体数・生息環境の測定及び解析を行い、好選する環境的要素を明らかにする。結果として廻水路に多数の個体が確認され、一般的に好むとされる水際植生等の要因に加え、「廻水路であること」が最もアリアケギバチが好選する要因であることが明らかとなった。これは廻水路の特徴として改修や人為的改修が少なかったことや堰を迂回し上下流の連続性を保っているためだと考えられた。廻水路は、水争いという地域の歴史的背景の中で維持された土木遺産であるが、現在は希少魚類生息場として重要な機能を有することが示唆された。

学生部門-19

多自然川づくりが実施された急流河川における大規模出水の影響評価

発表者

​所属

佐藤 辰郎

九州産業大学

連名著者

甲斐貴大(九州産業大学)/髙田浩志(熊本県立大学)/佐藤辰郎(九州産業大学)

要旨

急流河川で護床工や落差工等の改修が進み,環境や生物多様性の劣化が大きな課題となっている。宮崎県高千穂町の山附川では、巨石を用いた多自然川づくりが実施され、魚類の生息状況が改善していたが、2022年の台風により河道が大きく改変され、魚類の生息に影響が出たことが予想された。本研究では、山附川と対照河川である跡取川にて2022年出水の前後で魚類と物理環境を調査し、大規模出水の影響を分析した。その結果、出水による全体的な魚類の生息密度の減少が確認された。出水による魚類の流出のほか,岩盤の露出が魚類の生息密度減少に影響していることが示された一方で、淵の体積増加により生息密度が増加する区間も確認された。

学生部門-20

急流河川に存置された巨石の移動条件に関する研究

発表者

​所属

佐藤 辰郎

九州産業大学

連名著者

西林優希(九州産業大学)/髙田浩志(熊本県立大学)/佐藤辰郎(九州産業大学)

要旨

本研究では、山附川を対象に2022年の大規模出水前後の巨石の移動とその水理条件との関係を分析した。河道内の巨石は河床の安定化や生物の生息場を提供する利点があるが、その移動に関する知見が限られている。本研究では平面二次元水理解析とロジスティック回帰分析により、相対水深と巨石の存在形態が巨石移動に影響を与える主要な要因であることを特定した。回帰モデルの予測精度は特に高いとはいえなかったが,相対水深が増加すると巨石の移動確率が上がる傾向を示し、また単体で存在する巨石の移動確率が高く、巨石が連結されている場合には移動しづらいことが示された。

学生部門-21

カメラ画像を用いた河川・水路の水位計測システムの開発

発表者

​所属

佐藤 辰郎

九州産業大学

連名著者

池田康志(九州産業大学)/吉田昂洋(九州産業大学)/佐藤辰郎(九州産業大学)

要旨

流域治水のおいては流域全体で水の動態を正確に捉えること重要であり、河川水位の正確な監視が不可欠である。これまで河川監視用のレーザーCCTVカメラを用いて水位を計測する機械学習の手法等が提案されたものの、汎用性とコストに課題がある。本研究では、AIを活用して河川の画像から水面を識別し水位を計測する汎用的なシステムを開発し、セグメンテーションにより高精度な水面抽出と水位計測が可能であることを確認した。ただし、暗い画像や低解像度での誤差は改善の余地があると結論付けられた。

学生部門-22

中小河川におけるIoTセンサーを用いた河川縦断水位の高密度観測

発表者

​所属

佐藤 辰郎

九州産業大学

連名著者

𠮷永悠人(九州産業大学)/吉田昂洋(九州産業大学)/佐藤辰郎/(九州産業大学)

要旨

流域治水の導入には中小河川の洪水動態の正確な把握が必要であるが、中小河川の観測網は不十分であり観測データが極めて不足している。本研究では、安価なIoT距離センサーを活用し,簡便に高密度に設置する手法を探りながら,中小河川の洪水伝播を観測した。熊本県球磨川流域の支川である井口川において,15本の橋梁に距離センサーを設置し、水位の連続観測を行った。結果として、センサーデータをクラウドサーバで受信した割合は平均98%であった。また,観測された降雨イベントは少雨であったものの洪水波が下流に伝播する様子を詳細に捉えることに成功した。今後,豪雨時にも確実にデータが取得できるかの検証が必要である。

学生部門-23

JET水車を用いた小水力発電システムの出力特性に関する研究

発表者

​所属

佐藤 辰郎

九州産業大学

連名著者

藤田拓朗(九州産業大学)/西田健人・株式会社リバー・ヴィレッジ/島谷幸宏・熊本県立大学/佐藤辰郎(九州産業大学)

要旨

小水力発電は中山間地域に存在する持続的な再生可能エネルギーであり,地域づくりにも活用されている。しかしながら、規模の小さい水力発電はコスト面の課題があり,その課題を解決する「JET水車」が開発された。JET水車は3Dプリンターで製造されるため,形状変更が容易であり、低コストである。本研究では、JET水車と小型発電機の出力特性を明らかにすることを目的とし、室内実験と現地試験を行った。両実験結果から、24Vオルタネータと300W風力発電機が高効率でシステムに適していること、また,JET水車の効率は60%程度、システム全体の総合効率も40%程度で実用レベルであることが明らかになった。

学生部門-24

農村型地域運営組織(農村RMO)による空間管理の実態と課題

発表者

​所属

佐藤 辰郎

九州産業大学

連名著者

鹿田悠吏(九州産業大学)/佐藤辰郎(九州産業大学)

要旨

地域の空間を管理するエリアマネジメントという取り組みが注目されているが、都市部と比べ農村部の事例は少ない。そこで本研究では、農村の空間管理を担うと考えられる農村RMOに注目し,その空間管理の実態と課題を明らかにすることを目的とする。農村RMOの活動事例(149件)の分析から、施設等の認識しやすい地域資源については、交流人口を増やすソフト的な取り組みとの強い連環が確認された一方,耕作放棄地管理等はその連環が弱かった。しかし、ヒアリング結果より,地域資源をGIS等で可視化し,丁寧にコンテンツ化することで,交流人口増加と地域住民の地域への関心を高めることが可能であることが示唆された。

企業部門-1

学校グランドで進める流域治水:雨庭・流出抑制技術の導入1

発表者

田浦 扶充子

​所属

九州大学

発表者

栗山和道(株式会社フクユー緑地) /米岡伸一郎(株式会社東武園緑化)/浦瀬正臣(株式会社ネオコンクリート)/中川清文(城東リプロン株式会社)/島谷幸宏、髙田浩志(熊本県立大学)

要旨

令和2年の球磨川水害を受け、熊本では緑の流域治水プロジェクトが進められている。流域治水における発生源対策は重要なテーマの一つであり、特に締め固められ、浸透性が低い都市化された土地利用での流出抑制技術や雨庭の開発は急務である。熊本県あさぎり町の南稜高校グランドでは、4つの企業が参加し、企業の持つ流出抑制技術や修景の仕組みを導入し、グランド表面への降雨の流出を低減させる雨庭を整備した。導入した技術は、土壌の団粒化による透水性向上技術、浸透側溝、貯留浸透性を向上させるパイプや貯留槽、景観性に優れた雨庭など多様な方法である。これらによって集水面積の50%以上の流出抑制を見込んでいる。

企業部門-2

学校グランドで進める流域治水:雨庭・流出抑制技術の導入2

発表者

田浦 扶充子

​所属

九州大学

発表者

栗山和道(株式会社フクユー緑地) /米岡伸一郎(株式会社東武園緑化)/浦瀬正臣(株式会社ネオコンクリート)/中川清文(城東リプロン株式会社)/島谷幸宏・髙田浩志(熊本県立大学)

要旨

令和2年の球磨川水害を受け、熊本では緑の流域治水プロジェクトが進められている。流域治水における発生源対策は重要なテーマの一つであり、特に締め固められ、浸透性が低い都市化された土地利用での流出抑制技術や雨庭の開発は急務である。熊本県あさぎり町の南稜高校グランドでは、4つの企業が参加し、企業の持つ流出抑制技術や修景の仕組みを導入し、グランド表面への降雨の流出を低減させる雨庭を整備した。導入した技術は、土壌の団粒化による透水性向上技術、浸透側溝、貯留浸透性を向上させるパイプや貯留槽、景観性に優れた雨庭など多様な方法である。これらによって集水面積の50%以上の流出抑制を見込んでいる。

企業部門-3

都市型住宅で地域に魅せる雨庭デザイン ~住宅規模からはじめる雨まちづくりの提案~

発表者

金子 有太

​所属

フレイム一級建築士事務所 雨水デザイナー

発表者

角屋ゆず(世田谷トラストまちづくり)/神谷博(雨水まちづくりサポート)/秋山礼子(株式会社プラネット)/ 田中正弘・植香彩

要旨

雨庭を取り入れた住宅の事例は少ない。
雨庭とは”降り注いだ雨が地面に浸み込むまでの過程を観賞できるように作られたグリーンインフラのこと”です。
浸透・貯留機能と材料組成だけでなく"雨の通り道のビジュアル化"にも同等に重きが置かれたものが理想的な雨庭と考えます。
ゆえに
・建物と雨庭を一体的につくる
・雨水の通り道を長く、見えるようにする
・植栽に立体的な起伏や色がある
・住宅での普及にふさわしい材料組成
・敷地の角に配置した雨庭を地域に公開
を意識して、住宅規模でも屋根から地面に運ばれてくる雨を見て楽しめるデザインとしました。
こうした実践から地域の雨庭ネットワークの拡がりが期待されます。

企業部門-4

三島商工会議所のグリーンインフラの取り組み

発表者

池谷 太郎

​所属

三島商工会議所

発表者

要旨

グリーンインフラを取り入れることが、自然災害の防止につながる。
地域経済団体として住民の安心安全と共に、地域経済の安定や更なる発展に貢献できることを目的とし、「グリーンインフラ整備推進特別委員会」を発足。雨庭の設置や耕作放棄地を活用した小麦の栽培などに取り組んでいる。

企業部門-5

葉山におけるレインガーデン市民普請プロジェクトの実践

発表者

滝澤 恭平

​所属

株式会社ハビタ、葉山グリーンインフラ研究会

発表者

矢部満(応用地質株式会社、葉山グリーンインフラ研究会)

要旨

葉山町における、民地から公園まで市民普請(市民による施工)によるレインガーデン(雨庭)を軸としたグリーンインフラの地域実装のプロセスを報告する。地域住民と協働で、まちなかの表流水の流れを市民で把握する「葉山みずみちウォーキング」、古民家民宿・コミュニティ施設の平野邸におけるレインガーデンの市民普請、役場近くの花の木公園で豪雨時の道路への泥水流出を抑制するためのレインガーデン市民普請を行った。花の木公園では、流出測定、浸透試験を行った上でレインガーデンを計画・デザインし、施工後は市民によるレインガーデンを含む公園内草地環境の維持管理とモニタリングを行っている。

企業部門-6

ExcelとOpenDataでGIの浸水低減効果を概略予測

発表者

稲葉 修一

​所属

(株)建設技術研究所

発表者

渡邊敬史((株)建設技術研究所)/後藤颯太((株)建設技術研究所)/岩本英之((株)建設技術研究所)

要旨

都市のグリーンインフラ(以下「GI」とする)機能・効果に都市浸水対策がある。
本件では「GIをどこに・どの程度配置すれば、どの程度の浸水低減効果があるか」を、概略的にでも把握すること(=施策の「めぼし」をつけられること)を目的とした。
具体的には、オープンデータとエクセル及びGISを用いた内水浸水シミュレーション(簡易モデル)を作成し、GI配置による浸透能や地形を設定し、現状と比較することにより、都市におけるGI浸水低減効果の「めぼし」の見える化を試行した。

企業部門-7

雨宿里・ハイドロ雨水循環壁面緑化システム

発表者

秋山 礼子

​所属

株式会社プラネット

発表者

秋山礼子(株式会社プラネット

要旨

”みどりスタック”雨水循環壁面緑化システムは、団粒構造の発泡材料を利用した培地にハイドロカルチャー植物を植えこんでいるため潅水しても培地の流出がなく、ソーラーパネル電源を利用した水中ポンプで下部の雨水貯留槽からプランター上部へ循環潅水することができるシステムである。植込み材料の1つのガラス発泡材シリカ(ケイ酸)ソイルは、雨水貯留槽内の大腸菌を抑える効果と、植物の健全な生長を助ける働きがある。
常緑植物以外に花ものから、宿根草、野菜、ハーブなど様々な植物の栽培が出来る。植物はカセット式で交換可能なため、生産緑化としての利用が出来ることも特徴である。
 

企業部門-8

法面緑化とグリーンインフラ

発表者

南雲 亜樹

​所属

ロンタイ㈱福岡支店

発表者

金川順二(ロンタイSDGs推進チーム)/和田象理(ロンタイSDGs推進チーム)/河村絢香(ロンタイSDGs推進チーム)/八尋未奈(ロンタイSDGs推進チーム)

要旨

植生シート導入による法面緑化とグリーンインフラの関わりについて解説。また、環境保全の一環として従来の法面緑化から一歩踏みこみ、地域性種苗を利用した法面緑化がどのようにSDGs活動に繋がっているかを解説。実例として奈良県東吉野、熊本県阿蘇の活動をご紹介する。

企業部門-9

耐荷重に優れる雨水貯留材を植栽基盤へ適用した グリーンインフラ工法の開発

発表者

田﨑 一宏

​所属

前田道路株式会社

発表者

入江彰昭・東京農業大学/武田一晃・東京農業大学/竹内康・東京農業大学/佐藤貴紀・東京農業大学

要旨

街路樹をはじめとした都市樹木の植栽基盤の多くは、狭小で、周囲を強固に転圧された舗装体に囲まれている。その為、根系が広がらず強風時の倒木リスクが高くなり、また「根上り」による舗装構造の破壊もみられる。街路樹周囲の路床に相当する層に対し、雨水貯留槽に使用される樹脂製貯留材を“根系保護材”として活用することにより、舗装の支持力が確保された耐圧植栽基盤が構築でき、安定的な発根促進や根系の誘導が図られると考えられる。本研究では街路樹と見立てた対象樹木の根鉢周囲に貯留材を組立て、施工1年後に貯留材内で伸長した根系の長さ・太さ等の計測調査を実施した。その結果、根系の旺盛な伸長を確認し本工法の有効性が示された

企業部門-10

空枠式護岸ブロック マザーズロックⅢ型(環境型ブロック)

発表者

末松 吉生

​所属

マザーズロック協会

発表者

要旨

本技術(マザーズロックⅢ型)は、
空枠式ブロックの最下段ブロック等の底部境界面に抵抗板を設置することで胴込栗石や抵抗板に作用する受動土圧
により滑動抵抗性等に優れたブロック構造となる。また栗石で形成される多孔質空間は河川の生き物に棲み処を提供する。
更に、本構造内に形成される多孔質空間は河川水の貯留室となり河川水の水位を低下させて流速を低下するとともに浸透性に優れた
護岸が期待できる。

企業部門-11

N23-ATTAC改良土

発表者

鹿田 昌史

​所属

全国トース技術研究組合

発表者

要旨

土や路盤材に団粒化剤を配合し、団粒構造に変え、透水性と保水性を向上させるN23-ATTAC土・路盤材(透水性保水型工法)を施工することで、透水性と保水性が向上するため、様々な場所に導入されることで、流域治水や地下水かん養への効果が期待されます。

企業部門-12

阿蘇くじゅうサイクルフィールズ

発表者

髙木 こころ

​所属

肥後銀行 地域振興部

発表者

要旨

観光庁補助事業である「インバウンドの地方誘客や消費拡大に向けた観光コンテンツ造成支援事業」の一環として、肥後銀行と大分銀行協働の下、阿蘇くじゅう地域をサイクリングという面からプロモーションしていくもの。

企業部門-13

茨城県守谷市におけるグリーンインフラの取組み ー活動開始から7年目の取組状況ー

発表者

白土 智子

​所属

株式会社福山コンサルタント

発表者

大塚宣昭((株)福山コンサルタント)/高井洋志((株)福山コンサルタント)/島ノ江彩加((株)福山コンサルタント)/浅田寛喜(熊本大学)

要旨

(株)福山コンサルタントと茨城県守谷市は2017年11月に「グリーンインフラに関する官民包括連携協定」を締結し、グリーンインフラを市域に戦略的に導入し、持続可能な都市成長を果たすことを目指して『守谷版グリーンインフラ』の取り組みを推進している。2023年11月で取組の開始から7年目を迎えた。
本報告では、グリーンインフラ推進のスタートアップとして実施した「Moriya Green Beer事業」等、これまでに進めてきた市内のグリーンインフラの理念に基づくプロジェクトの推進及び検討状況をまとめるとともに、今後の展望について報告したい。

企業部門-14

自然再生の『経済活動化』を見据えた蒜山自然再生協議会の取り組み

発表者

松永 香織

​所属

パシフィックコンサルタンツ株式会社

発表者

千布 拓生(蒜山自然再生協議会)

要旨

蒜山地域の自然環境は、人々の暮らしの中で作り出され、蒜山地域の文化や生業と結びついてきた。しかしながら、近年の産業や生活様式の変化等によって山焼き面積が減少するなど、人々の手入れによって維持されてきた蒜山地域の自然が危機的状況にさらされている。
そのため、蒜山地域では、先人の自然資源利用の知恵と技術を受け継ぎ、今の時代に合わせた形で自然の恵みを感じられる場や自然資源を利用した生業を作り出すことで、蒜山地域の自然環境の再生を目指している。そして、蒜山地域での地域循環共生圏の実装に向け、自然環境の保全と経済活動の好循環を通じて蒜山の自然を活かし守る仕組みを実践する先進的な取り組みを進めている。

企業部門-15

新潟における「グリーンインフラによる安全安心な都市づくり研究会」の活動

発表者

林 寛子

​所属

公益財団法人新潟県都市緑花センター

発表者

坪川 充(公益財団法人新潟県都市緑花センター)/高橋 忠栄(公益財団法人新潟県都市緑花センター)/小林 亘(公益財団法人新潟県都市緑花センター)/小林 野々華(公益財団法人新潟県都市緑花センター)

要旨

グリーンインフラを取り入れた安全安心な都市づくりに向け、グリーンインフラ全般に関する理解を深め、気運の醸成、取り組み促進を図るため、2023年に関係機関による研究会を設置した。グリーンインフラの防災、減災機能に着目した取り組みが新潟県内で促進されるよう、関係機関が情報共有、技術の協力を行い、勉強会やセミナーの開催による能力向上、普及啓発を図り、モデル事業による効果の検証、事業化に向けた取り組みを進める。

企業部門-16

北九州市におけるホップを活用した自然再興型第6.5次産業の推進による生物多様性保全と地域経済に貢献するまちづくり

発表者

安枝 裕司

​所属

株式会社エコプラン研究所

発表者

デワンカー バート(北九州市立大学国際環境工学部)/峯松 幸之助(門司港レトロビール株式会社)/高井 洋志(株式会社福山コンサルタント)/高崎 誠(株式会社福山コンサルタント)

要旨

生物多様性の損失や自然と触れ合う機会の減少などを反転させるため、ビールなどの原料になるホップによる建物のグリーンカーテンによる冷房負荷軽減から始まり、市民参加型のホップ栽培、多主体協働によるホップを使った製品の開発・製造・販売、副資材のアップサイクルなどを行い、売り上げの一部を響灘ビオト―プの自然環境保全に還元する仕組みを構築。商品購入により、生物や自然への無関心層を含む消費者が図らずも生物多様性保全に貢献できるだけでなく、ホップ製品の企画・開発・販売等を通じて民間事業者の事業活動に組み込み、地域経済にも寄与できる体系(自然再興型第6.5次産業)を実装し、生物多様性保全を推進するまちづくり。

企業部門-17

九州・沖縄地域におけるEco-DRRランドスケープ ~気候変動適応に向けた九州・沖縄地域での取組~

発表者

後藤 祐哉

​所属

一般財団法人九州環境管理協会

発表者

藤田いくみ(一般財団法人九州環境管理協会)

要旨

グリーンインフラ・Eco-DRR(生態系を活用した防災・減災)は近年提唱された考え方であるが、九州・沖縄は古くから水害に悩まされてきた地域であり、自然を活用した技術・工夫は、伝統的なものも含めて現在も存在している。また、我々の身近にも防災・減災をもつ自然環境が存在しており、このような自然を適切に保全することも重要である。当協会は九州・沖縄地域のEco-DRR事例を調査・収集し、それらをわかり易く発信する上でランドスケープイラストを作成した。また、関係者の理解醸成や取組方針の検討をサポートするツールとしてEco-DRRカルテを作成するなど、地方公共団体による取組実施に向けた活動を行った。

企業部門-18

GIはどこに導入するのが効果的? ~ネットワーク解析を用いた生物多様性保全に効果的な場所の抽出~

発表者

後藤 颯太

​所属

(株) 建設技術研究所

発表者

渡邊敬史((株) 建設技術研究所)/稲葉修一((株) 建設技術研究所)/岩本英之((株) 建設技術研究所)

要旨

GIとして緑地や河川整備を実施する場合、生物多様性の保全に効果的な場所はどこだろうか? 場所の選定には各場所が有する保全効果のポテンシャルを定量的に評価することが重要となる。これには、生息地の質と空間配置の両要素の考慮が肝要となるが、そのような評価を基に保全事業を実施した国内事例は少ない。また、実際の事業では土地利用や利害関係者等の制約が生じるため、複数の候補地選定と優先順位付けが求められる。場所の適性判断は、TNFDや自然共生サイトの普及により今まで以上に重要視されている。本発表では、グラフ理論に基づく連結性指標を用いた樹林および河川ネットワークの評価事例とその活用方法について紹介する。

企業部門-19

グリーンインフラの社会実装に向けた地方自治体の計画づくり

発表者

中尾 理恵子

​所属

株式会社創建

発表者

所功治(株式会社創建)/川合史朗(株式会社創建)

要旨

自然が有する多様な機能を活用するグリーンインフラは、一定エリアの道路・河川・公園などの公共インフラ、そして民有地と、多様な空間で多様な主体が連携した取組が必要となる。このため、地域が有する課題に正対しながら、グリーンインフラにより期待される効果(防災・減災、環境保全、地域振興)を最大限に発揮できる計画づくりが求めらる。
地方自治体が、関連する行政計画への位置付け、グリーンインフラ推進に関わる計画づくりなどを通じて、グリーンインフラを施策・事業として具体化していくことは、グリーンインフラの社会実装に向け重要な取組の一つである。これを支援する弊社の取組について紹介する。

企業部門-20

持続可能な地域づくりのための生態系を活用した 防災・減災(Eco-DRR)の手引き

発表者

小笠原 奨悟

​所属

パシフィックコンサルタンツ株式会社

発表者

要旨

生態系を活用した防災・減災(Eco-DRR)は、近年、自然災害に対するレジリエントな地域づくりと生物多様性の保全の両立に貢献し、地域の社会・経済的な発展にも寄与する取組として注目されている。環境省の「自然生態系を基盤とする防災減災推進事業」では、Eco-DRRの更なる推進に向けて、これまでEco-DRRのポテンシャルがあると考えられる場所を可視化するためのツール(生態系保全・再生ポテンシャルマップ)の検討や「持続可能な地域づくりのための生態系を活用した防災・減災(Eco-DRR)の手引き」(令和5年3月)の作成を行ったため、その内容を紹介する。

企業部門-21

品川セントラルガーデンにおける年間を通した利用実態に関する研究

発表者

髙森 万貴

​所属

株式会社大林組

発表者

相澤章仁(株式会社大林組)

要旨

近年は、国土交通省による「居心地が良く歩きたくなる」まちなかづくりの推進やCOVID-19の流行を契機としてオープンスペースに対して居心地の良さが求められている。本研究では居心地の良い空間とはどのような空間であるかを明らかにすることを目的とした。品川セントラルガーデンを対象として1年間、利用者の属性や滞留場所を記録した。また、敷地内の気温を計測し、人の利用実態との関連を分析した。利用者数は気温と連動して増減し、25℃付近で最も多くなることがわかった。利用者は隣接するビルの出入口に近い場所に多く滞在しており、滞在場所の選択にはアクセスの良さが関係していることが示唆された。

企業部門-22

グリーンインフラや自然資本は人の感情に影響を与えているか。因果AIが語る機序。

発表者

幸福 智

​所属

いであ株式会社 国土環境研究所 地域共創推進部

発表者

要旨

近年,人々のWell-beingも社会の進歩を測るための指標であることが認識され,世界的にも注目が集まっている。
しかし、サービスの与益者と受益者が行政界をまたいでいる場合,受益者のWell-beingの一部を与益者側の行政が担うこととなり施策の検討が複雑になる。その一例として,同一流域内で水源を涵養する上流域と,生活用水として使用する下流域の関係が挙げられる。
本研究は、高知県の早明浦ダムの給水区域を対象にアンケートを実施し、日本電気株式会社が開発・提供している因果分析ソリューション「causal analysis」を用いて資本・サービスとWell-beingの因果構造を分析した。

企業部門-23

ネイチャーポジティブの実現に求められるグリーンインフラ整備のあり方

発表者

上野 裕介

​所属

石川県立大学緑地環境学研究室

発表者

長谷川啓一(EYストラテジー・アンド・コンサルティング(株))/上野裕介(石川県立大学)

要旨

ネイチャーポジティブとは、生態系の損失を食い止め、「自然に対してプラスの影響を与える行動」を意味する概念であり、環境保全と持続可能な社会を目指す動きとして国内外で急速に広まりつつある。従来からの生物多様性保全や自然資本活用に関する概念に加えて、個人のライフスタイルの見直しや、企業活動のサプライチェーン管理などより広範な取り組みが重要となる。
グリーンインフラ整備や活用は、このネイチャーポジティブの実現に寄与する可能性が極めて高い一方で、従来のインフラ整備で不足していた視点や意識すべき配慮事項等がある。本発表では、ネイチャーポジティブの実現に向けて必要な視点や事項について整理・提言を行う。

企業部門-24

グリーンインフラの技術をネイチャーポジティブ社会の実現に活かすために

発表者

上野 裕介

​所属

石川県立大学緑地環境学研究室

発表者

長谷川啓一(EYストラテジー・アンド・コンサルティング(株))/上野裕介(石川県立大学)

要旨

国内におけるグリーンインフラの整備や活用は、産官学民のあらゆる主体の取り組みにより、急速な広がりと多様化が進みつつある。このGIの取り組み拡大と並行し、世界的な動向となりつつある“ネイチャーポジティブ社会の実現”に関し、GIの技術活用が大いに期待されている。一方で、これまでに蓄積されてきた個々の技術や手法にはどのようなものがあり、またそれらを駆使することでネイチャーポジティブ達成を期待できるのかは明確ではない。
本発表では、インフラ整備においてこれまでに進められてきた取り組みや要素技術を例示しつつ、ネイチャーポジティブ社会の実現に向けて不足している視点や意識すべき事項について整理・提言を行う。

企業部門-25

企業緑地で行う生物多様性向上の取り組み

発表者

相澤 章仁

​所属

株式会社大林組

発表者

相澤章仁(株式会社大林組)/長野龍平(株式会社大林組)/伊東雄樹(株式会社大林組)/寺井学(株式会社大林組)

要旨

2023年9月にTNFD最終提言v1.0が公開され、企業での生物多様性向上の取り組みが必須となりつつある。外構や企業林などの企業緑地は有効活用されていないことも多く、これを使って生物多様性向上に貢献することを目指す技術開発が必要である。「草地のビオトープ」では、法面や外構を在来草原生植物で緑化することで、管理放棄などにより減少しつつある草原生態系の維持・回復を目指す。「多機能雨庭ビオトープ」では、雨庭の底面に落ち葉を敷くことで土壌生物を誘引する。さらには粗朶による法面処理や在来種を使った緑化なども行うことで、生物多様性向上機能を付加する。

企業部門-26

環境DNA分析によるトンボ目の網羅的検出と既存調査手法との比較

発表者

北野 雅人

​所属

株式会社 竹中工務店

発表者

北野雅人1/山崎祐二1/木村文1/今藤夏子2/角谷拓2/松木和雄3/林紀男4/伊藤元5
1竹中工務店・2国立環境研究所・3千葉県船橋市・4千葉県立中央博物館・5地域環境計画

要旨

トンボ目を対象に環境DNA分析を行い、サンプリング方法(季節、地点、深さ)の違いを評価すること、従来手法の幼虫や羽化殻の採集調査と比較することで環境DNA分析の有用性を評価することを目的として行った。
環境DNA分析の結果、検出種数は地点間よりも季節変動の方が大きく、また同一地点間では深層水の方が表層水よりも種数が多い傾向があった。幼虫の採集調査での確認種数は11種、羽化殻調査は13種だったのに対して、環境DNAでは17種が確認された。課題は残るものの、幼虫の採集調査で見られた全種と羽化殻調査で得られた種の多くを捕捉できており、従来方法を補完するには強力な手法であることが示唆された。

企業部門-27

環境DNAパッシブサンプリングツールによる生物多様性モニタリング

発表者

加藤 靖広

​所属

日本工営株式会社 環境部

発表者

今村史子(日本工営株式会社)/五十嵐美穂(日本工営株式会社)/郡司未佳(日本工営株式会社)
赤松良久/中尾遼平(山口大学)

要旨

グリーンインフラの評価のためには生物多様性の現状の把握が必要となる場合もあります。今回は、環境DNA技術を用いたパッシブサンプリング法を紹介いたしますが、本手法は、採水による従来の現地調査の課題、環境DNA回収(圧搾や揉み出し)の課題を解決した新手法であり、より現地の生物相を詳細に反映した成果を得ることができます。

企業部門-28

葛川子供水力発電所

発表者

岡崎 祐子

​所属

株式会社リバー・ヴィレッジ

発表者

島谷幸宏(熊本県立大学)/佐藤辰郎(九州産業大学)

要旨

大津市の葛川中学校は山間地域にある全生徒合わせて数十人の小さな学校です。廃校の危機から学校を守るため、知ってもらい[Know]、来てもらい[Come]、住んでもらう[Live]、『KCLプロジェクト』の活動に取り組んでいます。現在の中学3年生は、中学校の隣を流れる江賀谷川の水を使った小水力発電の計画を立て、学校の敷地内に木製の水車を作って実際に動かし、発電して電気を灯す活動を3年間続けてきました。その取り組みを紹介します。

企業部門-29

<Jet Peers〜村づくり主体形成を支える小水力発電モジュールと多地域連携プラットフォームの開発〜>

発表者

岡崎 祐子

​所属

株式会社リバー・ヴィレッジ

発表者

島谷幸宏(熊本県立大学)/佐藤辰郎(九州産業大学)

要旨

地域の水を活用した小水力導入は、地域内外の関係者との調整が必然的に生まれ、地域の主体形成に有効な社会技術である。3Dプリンタで製造する小型で軽量、安価なJet水車の技術シーズを用いて、人材育成や組織体制整備を含む誰でも導入できるシステムのパッケージを開発し、導入手法をマニュアル化することで、物理的・経済的・技術的な導入ハードルを飛躍的に下げ、多くの地域で導入可能な主体形成のツールを開発する。また、複数の地域でプロジェクトを同時進行させ、他地域の取り組みから学び合う仕組みづくりを行い、情報化して、誰もがアクセスできるプラットフォームを構築する。

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