GI学会 第1回学術大会 エクスカーション
「グリーンインフラ(GI)は、机の上ではなく、常に『現場』にある。」
グリーンインフラ学会が大切にしていること。
それは、現場の課題を研究者や行政、企業、そして地域住民が「自分事」として捉え、
知恵を出し合い未来を切り拓く共創の関係性を創り出すことです。
第1回大会では、熊本県人吉市・球磨川流域の各地を巡る
エクスカーション(現地見学会)を開催します。
≪開催概要≫
日時: 2026年5月30日(土) 11:30 〜 18:00
持ち物: 歩きやすい服装、帽子、飲み物
≪エクスカーション視察地点一覧≫
※エクスカーションは各自(自家用車・レンタカー等)で現地へ移動していただく形式です。
※大雨などによるエクスカーションの中止、あるいは一部変更に関する判断は、エクスカーションの2日前(5月28日(木))までに行い、参加者の皆様に連絡いたします。予めご了承ください。
ボトムアップ型IoT「くまカメ」の実装現場 @人吉市下薩摩瀬町
≪見どころポイント≫
・「Amazonで買える」が合言葉
高価で複雑な行政システムだけでなく、地域住民が自らハンドリングできる「安価で手軽なデバイス」を組み合わせ、自分たちの手でLINE配信システムを構築
・研究者と住民の共創ワークショップ
単なる機器の設置に留まらず、住民と研究者が膝を突き合わせ、どこが危ないか、どこにカメラがあれば逃げ遅れないかを議論し、共に現場を歩いてカメラを設置した「共創のプロセス」を視察
・地域の災害タイムラインへの位置づけ
行政主導のハザードマップだけでは埋められない「情報のラストワンマイル」を住民自らがどう埋めたのかを体感



あえて「漏らす」ことで地域を守る「リーキーダム」 @あさぎり町
≪見どころポイント≫
・「漏れやすさ」が、地域を水害から守る
「リーキー(Leaky)」の名が示す通り、リーキーダムは水を完全に止めず、水をゆっくり流し貯めることで、洪水ピークを遅らせる技術
・通常の川の流れを邪魔せず、生物の行き来を自由に
多くのリーキーダムは、あえて水面より少し高い位置に設置。普段の川の営みや魚の移動を一切妨げず、増水した「いざ」という時にだけその真価を発揮
・洪水時の生物の避難場として
洪水時に水をゆっくり流すことで、魚などが住みやすくなる環境効果を視察


多面的機能をもった「遊水機能を有する土地」の整備 @相良村
≪見どころポイント≫
・熊本県では、「遊水機能を有する土地」の確保・保全を進めています。
・「遊水機能を有する土地」とは、洪水の一部を留めておくことができる河川沿いの土地で、これを確保することにより、洪水の貯留空間に加え、「多様な生物が生息・生育・繁殖できる環境の保全・創出」や「研究フィールドや交流・学習の場」などとして、様々な主体の参画を図る」ための土地として球磨川水系の河川整備計画中に位置づけられています。現在、川辺川2地区(「下鶴地区」、「黒石地区」(相良村))、井口川1地区(あさぎり町)に計画されています。具体的な整備の内容は、行政(熊本県、相良村、あさぎり町)・住民・大学がワークショップ等により検討しています。
・川辺川「下鶴地区」には、隣接する丘陵地崖下から湧き出ている湧水が本地区に流入し、ホタル等の生物が生息しています。このような環境特性も踏まえ、治水×生物多様性の保全を実現し、かつ、地域活性化・観光振興・関係交流人口の拡大、教育・研修等の場としての活用を目指した計画案の策定や企業との連携のあり方が検討されています。


井口川でのワークショップの様子
湧水を活かした水路等が計画
治水と環境の両立を目指した「迫湿地」の再生 @相良村自然生態園
≪見どころポイント≫
・民間企業との共創による湿地の再生
MS&ADインシュアランスグループからの資金援助とボランティアにより、管理が届かなく高茎草本の繁茂や陸化が進んでいたかつての谷地「迫」を、湿地環境として再生
・降雨を貯留することにより流出を抑制
湿地の集水域に降る雨とともに、川の氾濫流を貯留。周辺での浸透化(雨庭)の進めている。
・様々な管理手法による湿地依存種の復元
ホシクサ類などの湿生植物、ハッチョウトンボ、ヘイケボタル、イシガメ、メダカ、ドジョウなど目標のターゲット種とし、その生態にあわせた、高茎草本の刈り取り、有機物の除去、耕耘、開放的な水面の造成、植生管理としての水稲栽培、周辺樹木の伐採による日当たりの改善等の現場を視察


竹筋コンクリートと雨庭の融合「竹しずく」 @あさぎり町
≪見どころポイント≫
・雨の日を楽しむ駐車場
雨水をただ流すのではなく、使用済みの焼酎樽を「雨水タンク」として再利用。雨音を響かせる鹿威し(ししおどし)や、路盤への浸透を促す竹筒など、雨の動きを楽しむことができる駐車場へと整備。
・「鉄筋」ではなく「竹筋」コンクリート
鉄筋の代わりに、地域資源である「竹」を構造材として使用。製造時に大量のCO2を排出する鉄を使わないことで、新しいコンクリートの在り方を提案。放置竹林の解消と脱炭素を同時に達成。
・共創のプロセス
造園職人、建築研究者、竹林管理者、銀行員、ランドスケープアーキテクト、地域おこし協力隊、小中学生、橋梁エンジニアなど、多様な分野の人が計画段階から横断的に関わることで、新しい化学反応が生まれ、世界初の竹筋コンクリート型雨庭を整備。その共創のプロセスを学ぶことができます
Before

After

「森林の保水力」計測の最前線 @南稜高校演 習林
≪見どころポイント≫
・森林の保水力とは
森林の保水力は「雨水遮断力」「蒸散」「一時的保水力」の3つで構成される。南稜高校の演習林では、保水力をどのように計測しているか視察することが可能
・高校生との協働による保水力の計測
高校生と協働して計測することで、森林の保水メカニズムを次世代が学ぶ機会を創り上げるとともに、森林保全の大切さを伝えている

