top of page

GI学会 第1回学術大会 口頭発表

本大会の口頭発表では、グリーンインフラに関する最新の研究報告だけでなく、

社会実装を加速化させるための多角的な視点が掲示されます。

分野や立場の垣根を越え、グリーンインフラを「自分事」として議論し、

社会を変える一歩を踏み出す「共創の場」を創出することを目指します。

​​場所:人吉カルチャーパレス 小ホール

期間:2026年5月31日(日)

9:00

グリーンインフラの系譜と原則

*木下 剛1、一ノ瀬 友博2(1.千葉大学、2.慶應義塾大学)

9:15

実証用雨庭における浸透能の経年変化と水位応答特性に関する考察

*田浦 扶充子1、島谷 幸宏2(1.福岡大学、2.熊本県立大学)

9:30

広報誌「京のみどり」を通した雨庭の普及啓発の10年間

*森本 幸裕1、佐藤 正吾1、駒井1、阿野 晃秀1、awake景観デザイン研究所、松本 仁2(1.(公財)京都市都市緑化協会、2.松本仁技術士事務所)

9:45

雨庭のさきがけとしての伝統的枯山水庭園のはたらき

*山下 三平1、深町 加津枝2、宮崎 優2、Brianna Satiago2、丹羽 英之3、森本 幸裕4(1.九州産業大学、2.京都大学、3.京都先端科学大学、4.京都大学)

10:00

雨庭土管の効果をどう測るか ― 土中環境改善の評価手法に関する現場からの問題提起 ―

*武市 智子1、奥田 文悟1(1.NPO法人信楽エコビレッジ研究会)

10:15

球磨川豪雨における人吉市街地の氾濫要因分析と誘導地形による流況改善手法の提案

*矢野 智徳1、堀 信行2、粟生田 忠雄2(1.一般財団法人杜の財団、2.風土再生学会)

10:30

(休憩 10分間)

10:40

グリーンインフラを支える水域環境情報としての海況予測 ― 海況予測システムPhizmoの開発 ―

*稲川 千津1、村上 友梨1(1.古野電気株式会社)

10:55

文献ベースHSIモデルと水理水質数値解析を統合したマングローブ再生適地推定手法の開発

*家根橋 圭佑1、岩倉 浩土1、ムハンマド イルハム サハナ1(1.日本工営株式会社 中央研究所)

11:10

海岸生態系の連続性に関する経済評価 - ブルー・グリーンインフラへの示唆

*大森 結衣1、栗山 浩一1(1.京都大学)

11:25

ポートランド市民はグリーンストリートをどのように評価するのか ― 支払意思額とボランティア意思からみた仮想バイアスの検証 ―

*田中勝也1、Amy Ando2、Nicholas McCullar3、Nishant Parulekar3(1.滋賀大学、2.オハイオ州立大学、3.ポートランド市環境局)

11:40

戸建住宅のグリーンインフラやネイチャーポジティブに係る性能評価

*一ノ瀬 友博1、山田 由美2(1.慶應義塾大学、2.兵庫県立大学)

11:55

(ポスター発表コアタイム・昼休憩)

13:00

都市における名もなき土地を活用したグリーンインフラの社会実装モデル ― 市民参加型評価と認定制度の提案 ―

*法貴 弥貴1、栗原 薫1(1.グリーンインフラ市民学会)

13:15

都市の人工地質構造と表層地下水位観測に基づく水文地質特性

*髙嶋 洋1(1.第一工科大学)

13:30

唐原川プロジェクト ~大学のそばを流れる川の小さな自然再生~

*伊豫岡 宏樹1、古野 正章1、網中 あお1、森田 柊1、岩下 雅隼1(1.九州産業大学)

13:45

保全すべき緑地の優先順位付けにおける生態系ネットワークの分析・評価・検証事例

*後藤 颯太1、渡邊 敬史1、岩本 英之1、山崎 久美子2、大重 喬嗣2、志村 佳貞2、平賀 康裕(1.(株)建設技術研究所、2.千葉市公園管理課)

14:00

Japan biodiversity Metric(JBM)手法による評価事例の紹介

*福島 真理子1、鈴⽊ 菜々子1、江幡 大地1、壇 英恵1、横溝 成人1、中村 太士2、吉田 丈人3、西廣 淳4、福岡 孝則5、藤井 一至6、⾺奈木 俊介7(1.大成建設株式会社、2.北海道大学、3.東京大学、4.国立環境研究所、5.東京農業大学、6.福島国際研究教育機構、7.九州大学)

14:15

阿蘇グリーンインフラの貢献度評価指標検討

*小笠原奨悟1(1.パシフィックコンサルタンツ株式会社)

14:30

都市における生物多様性保全とグリーンインフラに関わる法的課題とその対応

*鈴木 詩衣菜1(1.立教大学)

14:45

(休憩 10分間)

14:55

脱!レジャー施設! 先進的海洋センターとして生まれ変わる南島原B&G海洋センター

*根岸 弥佳1(1.長崎県南島原市 教育委員会)

15:15

能登復興グリーンインフラ研究部会の取り組み

*上野 裕介1(1.石川県立大学)

15:30

被災地域における里山里海資源の維持・活用を支える外部人材の受け入れと媒介機能 -能登半島地震後の実践事例-

*野村 俊介1(1.金沢大学・能登里山里海未来創造センター)

15:45

世界自然遺産地域における自然資本保全型地域経営の実践報告 ― 西表島のグリーンインフラを活用した持続可能な地域づくり―

*長谷川 啓一1、後藤 麻乃1、高橋 優人2、平松 純麗2(1.EYストラテジー・アンド・コンサルティング(株)、2.竹富町)

16:00

災害後の森林環境と人間をつなぐ芸術文化的実践?文化継承の森づくり

*知足 美加子1、渡辺 敦史1、吉村 知也1、志水 健一郎1(1.九州大学)

16:15

山岳・自然観光地域におけるグリーンインフラ社会実装モデルの構築 ― 観光レクリエーションを起点とした実践の展開―

*西田 貴明1(1.京都産業大学)

16:30

LMC(ランドスケープマネジメントセンター)のコンセプトと印旛沼流域管理

*西廣 淳1、大坂 真希1、村上 暁信2(1.国立環境研究所、2.筑波大学)

16:45

グリーンインフラの協治を支援する情報共有基盤の実装:スマホアプリ「あめにわコネクト」等を事例として

*古田 尚也1(1.大正大学)

要旨集

グリーンインフラの系譜と原則

発表者

所属

連名者

木下 剛

千葉大学

一ノ瀬 友博(慶應義塾大学)

要旨

グリーンインフラ(以下GI)は、各国で様々な定義が用いられており、国際的に統一されたものは存在しない。本発表では、GIの系譜を整理しつつ、その原則を提案する。GIという言葉は1990年代にアメリカで使われるようになったが、当時その概念を整理したマクマホンによれば、考え方はオルムステッドのパークシステムに遡るという。その後の緑地計画や自然保護の発展に加え、20世紀後半から顕在化してきた地球環境問題に対応する手段の一つとしてGIが生まれてきた。それを踏まえ、私たちは「自然や生態系の作用に立脚すると同時に、生物多様性の損失をゼロにする」、「経済的に実行可能である」、「他のインフラのサービスを補完したり多機能化する」という三つの原則を提案したい。

実証用雨庭における浸透能の経年変化と水位応答特性に関する考察

発表者

所属

連名者

田浦 扶充子

福岡大学

島谷 幸宏(熊本県立大学)

要旨

本研究では、熊本県立大学内に設置した実証用雨庭における約4年間の観測データに基づき、浸透能の経年変化と水位応答特性を評価した。減水速度から算出した浸透能は4年間で有意に上昇しており、土壌構造の改善等による機能向上の傾向が確認された。また、実測形状を考慮した一槽モデルを用いた水収支シミュレーションでは、全体として良好な再現性が得られた一方、水位上昇時に計算水位が実測水位を上回る挙動が複数確認された。これは、一定の浸透能では捉えられないような、水位上昇期・初期の高い浸透能や、応答ラグの影響などが考えられる。本発表ではこれらの観測結果を整理し、雨庭の評価手法の一案を報告する。

広報誌「京のみどり」を通した雨庭の普及啓発の10年間

発表者

所属

連名者

森本 幸裕

(公財)京都市都市緑化協会

佐藤 正吾 、駒井(公財)京都市都市緑化協会)、阿野 晃秀(awake景観デザイン研究所)、松本 仁(松本仁技術士事務所)

要旨

(公財)京都市都市緑化協会では、季刊の広報誌「京のみどり」において、「京のまちに雨庭を作ろう」シリーズを2016年から掲載を開始し、37回を迎えた。取り上げた内容は、雨庭の考え方の紹介に始まり、雨庭の機能、海外を含む先進事例やユニークな事例、担い手や実現の枠組み、相国寺裏方丈庭園など伝統文化に潜む雨庭機能、世界銀行の途上国開発担当者向けセミナーなど雨庭関連のイベントなど多岐にわたる。この長きにわたる普及啓発を振り返りながら、世界目標となったネイチャーポジティブを念頭に、共有すべきゴールとして、生物多様性に配慮した温暖化適応に資する「地域雨庭」と、その実現に向けた考え方も紹介したい。

雨庭のさきがけとしての伝統的枯山水庭園のはたらき

発表者

所属

連名者

山下 三平

九州産業大学

深町 加津枝、宮崎 優、Brianna Satiago(京都大学)、丹羽 英之(京都先端科学大学)、森本 幸裕(京都大学名誉教授)

要旨

発表者らは2017年から経年的に、京都の相国寺方丈の北側(裏)にある枯山水庭園の雨水貯留・浸透機能を実測し、その流出抑制効果を評価している。2025年からは庭園植栽とくに苔類の種類や分布について調べ、その環境要因の探求に取り掛かった。相国寺裏方丈庭園は19世紀初頭につくられてから、不浸透の大屋根をもつ方丈に降る大量の雨水を境内で処理する役割を担ってきた。近代化以前から大きく変わらないこの庭園のはたらきを調べることで、近代治水技術の課題を浮き彫りにし、日本の風土に適した対策としての、雨庭のあり方を問いたい。

雨庭土管の効果をどう測るか ― 土中環境改善の評価手法に関する現場からの問題提起 ―

発表者

所属

連名者

武市 智子

NPO法人信楽エコビレッジ研究会

奥田 文悟(NPO法人信楽エコビレッジ研究会)

要旨

本発表では、信楽焼の伝統技術を活用した雨庭土管の開発および普及活動について報告する。雨庭土管は、雨水の地下浸透を促し、土中環境の改善や水循環の回復を目指す実践的手法である。これまでに講演や地域での導入、医療施設への設置計画など社会実装が進みつつある。一方で、その効果を定量的に評価する手法は十分に確立されていない。本発表ではこれまでの実践事例を共有するとともに、土壌環境や水循環への影響を検証するための評価指標や調査手法について課題を整理し、今後の検証に向けて専門家からの助言や示唆をいただくことを目的とする。

球磨川豪雨における人吉市街地の氾濫要因分析と誘導地形による流況改善手法の提案

発表者

所属

連名者

矢野 智徳

一般財団法人杜の財団

堀 信行、粟生田 忠雄(風土再生学会)

要旨

球磨川豪雨における人吉市街地の氾濫区域を対象に、現地調査に基づき氾濫要因の分析を行った。その結果、高速道路、鉄道、一般道路に付随する橋脚等の横断構造物に対し本流が干渉し、反流・滞留を生じさせることで水圧が局所的に集中し、氾濫を誘発している構造が確認された。本研究では、この共通要因に対する対策として、河川敷の表層地形を調整し流れを誘導することで水圧を分散・軽減する手法を提案する。具体的には、渦の水流機能に基づく流線型の蛇行地形を形成することで流況を改善し、氾濫リスクの低減を図るものである。氾濫の原因と対策を一体的に捉えた実践的提案である。

(休憩 10分間)

発表者

所属

連名者

要旨

グリーンインフラを支える水域環境情報としての海況予測 ― 海況予測システムPhizmoの開発 ―

発表者

所属

連名者

稲川 千津

古野電気株式会社

村上友梨(古野電気株式会社)

要旨

グリーンインフラの計画や運用においては、陸域に加えて、水域環境の状態を適切に把握するための情報基盤が重要となる。特に、海流や水温といった水域環境の変化を捉える情報や、その将来変化を見通す予測情報は、現場での判断に有用である。一方、公的機関が提供する海況データは、空間・時間解像度や対象海域の制約から、実務的な意思決定に十分に活用しにくい場合がある。本研究では、公的機関の海況・気象データおよび衛星観測情報を活用し、水域環境の状態を高解像度に把握・予測する海況予測システム「Phizmo」を開発した。本システムは、水域を含むグリーンインフラの検討や運用を支える基盤情報としての活用が期待される。

文献ベースHSIモデルと水理水質数値解析を統合したマングローブ再生適地推定手法の開発

発表者

所属

連名者

家根橋 圭佑

日本工営株式会社 中央研究所

岩倉 浩土、ムハンマド イルハム サハナ(日本工営株式会社 中央研究所)

要旨

マングローブは、生物が産卵・育成を行う命のゆりかご、沿岸の災害レジリエンスを向上させる緑の防波堤、二酸化炭素を効果的に固定するブルーカーボン生態系、など様々な面から重要なグリーンインフラである。しかし、世界的に減少・劣化が進行しており、効果的な再生手法が求められている。本研究では、マングローブ再生の成功確率向上を目的に、水理水質数値解析等を用いた再生適地推定手法を開発した。対象には西表島古見湾における主要種を選定し、文献情報を基に作成した数式で実測値・推定値をSuitability Indexへ変換し、その幾何平均によりHabitat Suitability Index(HSI)を算出した。本研究では透明性・理解容易性を重視した文献ベースHSIモデルを基本としつつ、統計モデルやAIモデルも補助的に用いた高精度の再生適地推定手法開発を目指した。

海岸生態系の連続性に関する経済評価 - ブルー・グリーンインフラへの示唆

発表者

所属

連名者

大森 結衣

京都大学

栗山 浩一(京都大学)

要旨

グリーンインフラは複数の生態系を統合したブルー・グリーンインフラへと発展しているが,海岸生態系の経済評価は従来個別に行われてきた。生物多様性保全における生態系の連続性の重要性は指摘されているものの,それを定量的に評価した研究は乏しい。本研究では,砂浜・塩性湿地・海岸林の個別評価(A)と,それらを統合した海岸生態系(B)の支払意思額(WTP)を比較した。全国規模のWeb調査により有効回答はAが1,054,Bが951であり,選択型実験のデータを混合ロジットモデルで分析した。その結果,絶滅リスクに指定される海岸動植物の種数の変化(%)に対する限界WTPはAで929円/世帯/年,Bで1,905円/世帯/年となり,生態系の扱いによる評価の乖離が示された。

ポートランド市民はグリーンストリートをどのように評価するのか ― 支払意思額とボランティア意思からみた仮想バイアスの検証 ―

発表者

所属

連名者

田中 勝也

滋賀大学

Amy Ando(オハイオ州立大学)、Nicholas McCullar、
Nishant Parulekar(ポートランド市環境局)

要旨

グリーンインフラ(GI)の維持管理には住民参加が期待されるが、その意向評価には特有のバイアスが潜む可能性がある。本研究は、米国ポートランド市の住民703名を対象に選択実験を実施し、GIに対する支払意志額(WTP)とボランティア意志(WTV)を推計した。標準的な評価法と推論評価法を比較した結果、推論評価による推計値は標準法の約半分程度まで低下し、特にWTVにおける強い仮想的バイアスが浮き彫りとなった。さらに、ボランティアへの表彰制度は実質的に機能しないことも示唆された。本発表では、これらの結果に基づき、国内の都市空間へのGI実装に向けた合意形成の課題と展望を提示する。

戸建住宅のグリーンインフラやネイチャーポジティブに係る性能評価

発表者

所属

連名者

一ノ瀬 友博

慶應義塾大学

山田 由美(兵庫県立大学)

要旨

グリーンインフラの効能は多岐にわたるが、近年はそれらを定量的に評価する手法が確立しつつある。また、国土交通省は2024年度から優良緑地確保計画認定制度を開始した。これは民間事業者等の緑地確保の取り組みを評価・認定する制度であり、その評価項目にはグリーンインフラが持つ機能やネイチャーポジティブを目的としたものが数多く盛り込まれている。発表者らは、このようなグリーンインフラやネイチャーポジティブの性能評価が戸建住宅にも適用できないか検討している。戸建住宅については、建築物の省エネ性能については公的な評価制度が確立しており、屋外環境も対象としたものとしては建築物総合環境性能評価システムの戸建(新築)が存在する。今回の発表では既存の評価手法を整理したい。

(ポスター発表コアタイム・昼休憩)

発表者

所属

連名者

要旨

都市における名もなき土地を活用したグリーンインフラの社会実装モデル ― 市民参加型評価と認定制度の提案 ―

発表者

所属

連名者

法貴 弥貴

グリーンインフラ市民学会

栗原 薫(グリーンインフラ市民学会)

要旨

都市部では、農地や空き地が相続や管理負担を背景に減少し、アスファルト化が進むことで、水循環の断絶やヒートアイランド、生物多様性の低下が生じている。一方で、農地・公園・森林に該当しない未利用地や小規模な緑地であっても、雨水浸透や温熱環境の緩和、生態系保全に寄与している例が見られる。本発表では、これらの空間を「グリーンインフラ認定地」として評価・可視化する制度と、市民参加による評価の仕組みを組み合わせた社会実装モデルを提案する。あわせて実践事例をもとに、都市における水循環再生と市民参加の可能性について考察する。

都市の人工地質構造と表層地下水位観測に基づく水文地質特性

発表者

所属

連名者

髙嶋 洋

第一工科大学

要旨

都市の表層水循環系において,表流水と地下水は得水・失水など相互補完の関係にあり,この表層水循環系を制御するのは都市構造と都市地質である.一般に都市地質は開発に伴う掘削や盛土など様々に人工改変が加えられており,この結果,複雑な水循環系が形成されている.グリーンインフラの機能検証には,この複雑系を適切に捉えることが求められる.鹿児島県霧島市の第一工科大学敷地には,盛土に地盤改良が施され,この上面に素掘りの人工池が構築されている土地がある.当該地の人工地質構造の解明を行い,地質と地下水位変動との関係の検討を行ったので,これを報告する.

唐原川プロジェクト ~大学のそばを流れる川の小さな自然再生~

発表者

所属

連名者

伊豫岡 宏樹

九州産業大学

古野 正章、網中 あお、森田 柊、岩下 雅隼(九州産業大学)

要旨

唐原川プロジェクトは、九州産業大学のそばを流れる二級河川・唐原川を対象に、学生と地域団体が協働し」て取り組む「小さな自然再生」の活動です。高齢化や地域の関心低下により維持が困難となっていた河川環境に対し、講義でのフィールドワークを契機に、草刈りによる外来種の除去、ワンドやたまりの造成、掘り出した石を活用した石倉づくりなどを続けています。その結果、水質や景観の改善、生物の利用確認、地域の子どもたちの関心向上といった成果が徐々に見られています。一方で、メダカの消失や外来種の影響、地域連携や活動の継続性といった課題も明らかになっており、今後は継続的な調査と学部横断的な体制づくり、地域との協働強化が求められています。

保全すべき緑地の優先順位付けにおける生態系ネットワークの分析・評価・検証事例

発表者

所属

連名者

後藤 颯太

(株)建設技術研究所

渡邊 敬史、岩本 英之((株)建設技術研究所)、山崎 久美子、大重 喬嗣、志村 佳貞、平賀 康裕(千葉市公園管理課)

要旨

都市の緑地は、GIとして多様な機能を有する一方で、開発圧や地権者の高齢化といった維持管理上の問題に直面している。効率的な緑地保全には、各緑地の保全優先度を総合的に評価することが有効であるが、定量評価に基づき保全計画が策定された国内事例は限られている。本発表では、緑地が有する生物多様性保全機能の評価指標の1つとして、グラフ理論に基づく連結性指標(dIIC)を用いた樹林ネットワークの評価事例を紹介する。本指標は、生息地の空間配置と質の両要素を考慮でき、各生息地の重要度の定量化が可能である。千葉市の緑地保全方針(仮称)の検討においては、dIICと鳥類調査結果との関係を一般化線形モデルにより評価し、本手法の有効性を確認した。

Japan biodiversity Metric(JBM)手法による評価事例の紹介

発表者

所属

連名者

福島 真理子

鈴⽊ 菜々子、江幡 大地、壇 英恵、横溝 成人(大成建設株式会社)、中村 太士(北海道大学)、吉田 丈人(東京大学)、西廣 淳(国立環境研究所)、福岡 孝則(東京農業大学)、藤井 一至(福島国際研究教育機構)、⾺奈木 俊介(九州大学)

要旨

ネイチャーポジティブ実現に向け、企業活動による生物多様性影響の定量評価が求められている。当社は、イングランドの評価手法であるBiodiversity Metricを参考に、生息場の価値に着目したJapan Biodiversity Metric(JBM)を開発した。JBMは土地被覆に基づき、生物多様性を「量」と「質」から算定し、事業前後の累積値によりネットゲイン/ロスを評価する手法である。都市再開発ではネットゲインが確認される一方、自然度の高い地域ではネットロスが生じるなど、立地条件および設計の影響を定量的に示した。本発表では、適用事例を紹介するとともに、グリーンインフラの計画・設計段階への活用に向けた展望を述べる。

阿蘇グリーンインフラの貢献度評価指標検討

発表者

所属

連名者

小笠原 奨悟

パシフィックコンサルタンツ株式会社

要旨

熊本県では、九州の水がめである阿蘇のグリーンインフラを守るため、公益財団法人阿蘇グリーンストックと連携し、新たに「九州の水を育む阿蘇の守り手基金」を設置し、令和7年8月1日から寄附の受付を開始している。また、令和7年11月には、「阿蘇グリーンインフラの貢献度評価指標検討委員会」が設置され、阿蘇地域の草原を対象に、水源涵養機能の評価手法や企業等からの寄附に応じた貢献度の評価方法等の議論が行われた。本発表では、本基金における水源涵養機能の評価手法について紹介するとともに、グリーンインフラの機能評価と資金調達の可能性について話題提供する。

都市における生物多様性保全とグリーンインフラに関わる法的課題とその対応

発表者

所属

連名者

鈴木 詩衣菜

立教大学

要旨

気候変動への対応として機能するGI(グリーンインフラ)の設計や実施方法は多様であり、それに伴う課題も同様に多岐にわたる。本報告では、環境諸条約(気候変動枠組条約、生物多様性条約、ラムサール条約)における締約国へのGIに関する要請を踏まえ、特に、欧州諸国(スイス、ドイツ、フランス)において策定、改正された屋上緑化やビオトープに関する法制度に着目する。各国法の概要を整理したうえで、GIが直面する制度的障壁を克服するための一手段となる計画規制がどのように対応しているのかを検討する。

(休憩 10分間)

発表者

所属

連名者

要旨

脱!レジャー施設! 先進的海洋センターとして生まれ変わる南島原B&G海洋センター

発表者

所属

連名者

根岸 弥佳

長崎県南島原市 教育委員会

要旨

全国に約470箇所あるB&G海洋センターの中で唯一「先進的海洋センター整備事業」に採択されました。(B&G財団とは、日本財団が出資して設立された、青少年の健全育成を主な柱とする財団)先進的海洋センターとして、現在ハードとソフトの整備が現在進行中です。 ソフト事業の中で、力を入れたいと思っている部分が「海洋人材の育成」です。そのメイン事業として、若手研究者が集まる場所を作りたいと思っています。 しかし、学術的なこと・研究という分野は私たちにとっては知らないことが多すぎて何から準備すればいいのか具体的なことが見えません。ぜひ、この場をお借りして様々なアイデアをご教示いただきたいです。 単に興味がある!という仲間を募集します。

能登復興グリーンインフラ研究部会の取り組み

発表者

所属

連名者

上野 裕介

要旨

被災地域における里山里海資源の維持・活用を支える外部人材の受け入れと媒介機能 -能登半島地震後の実践事例-

発表者

所属

連名者

野村 俊介

金沢大学・能登里山里海未来創造センター

要旨

被災地域では、人口減少の加速と担い手不足により、田んぼや里山里海といった地域資源(グリーンインフラ)の維持が困難となっている。令和6年能登半島地震から2年が経過し、道路や堤防などグレーインフラの復旧は進展しているが、「能登らしい」復興にはこれら自然資源の再生も不可欠である。一方、災害後にはボランティアや支援者、移住者など多様な外部人材が流入し、農地維持や里山管理といった活動に新たな担い手が接続されている。本発表では、災害後の実践事例をもとに、外部人材の受け入れとそれを地域活動へと結びつける媒介機能に着目し、被災地における資源維持と関係人口の持続的形成のあり方について検討する。

世界自然遺産地域における自然資本保全型地域経営の実践報告 ― 西表島のグリーンインフラを活用した持続可能な地域づくり―

発表者

所属

連名者

長谷川 啓一

EYストラテジー・アンド・コンサルティング(株)

後藤 麻乃(EYストラテジー・アンド・コンサルティング(株))、高橋 優人、平松 純麗(竹富町)

要旨

世界自然遺産・西表島を有する竹富町では、訪問税や入域規制など、自然資本の「保護と利用の好循環」を目指す先進的な取組が進められている。一方で、その運用を持続可能なものとするには、制度を支える地域マネジメント、人材、関係人口、企業連携の仕組みづくりが課題である。本発表では、EYと竹富町による3か年の連携協定に基づいて開始している、自然資本の価値の可視化、責任ある来訪につながるファンコミュニティ形成、企業参画促進、対外発信の強化を通じた持続可能な地域経営モデルの構築プロセスを紹介する。あわせて、自然保全と観光・地域経済の両立を図るグリーンインフラ実装の視点から、その意義と今後の展望を報告する。

災害後の森林環境と人間をつなぐ芸術文化的実践?文化継承の森づくり

発表者

所属

連名者

知足 美加子

九州大学

渡辺 敦史、吉村 知也、志水 健一郎(九州大学)

要旨

 本研究は、九州北部豪雨災害被災地(2017年)の森林環境と人間の関係性再生につながる芸術文化的実践を試みるものである。精神的価値として自然との繋がりを築き、災害後の森林再生および木に関する文化継承のメソッドを開発する。具体的には朝倉三連水車群造り替え等、地域の文化継承に必要な木材資源を土砂災害被災地で育成し、生物多様性と文化を育む森づくりを行なうメソッドを探った。さらに、育成された森林が地域文化の継承につながるという意識を市民と共有するために、木に関する芸術文化的実践を行い検証を行なった。その結果、木が辿ってきた歴史や時間が人間に与える想像力が、意識変化の契機となる可能性が示された。

山岳・自然観光地域におけるグリーンインフラ社会実装モデルの構築 ― 観光レクリエーションを起点とした実践の展開―

発表者

所属

連名者

西田 貴明

京都産業大学

要旨

本研究は、山岳・自然観光地域を対象に、観光レクリエーションを起点とした実践駆動型グリーンインフラの社会実装モデルの構築を目的とする地域の流域スケールでの生物多様性や水循環等の機能評価と対策検討に加え、市民・来訪者・事業者の多様な動機に応じた行動変容設計を行う。さらに、地域主体を核に外部人材の伴走支援や、市民科学のアプローチを用いて、グリーンインフラを実装するプロセスを明らかにする。これにより、自然関連の拠点連携と価値の創出を持続的に実現することを目指す。

LMC(ランドスケープマネジメントセンター)のコンセプトと印旛沼流域管理

発表者

所属

連名者

西廣 淳

国立環境研究所

大坂真希(国立環境研究所)、村上暁信(筑波大学)

要旨

発表者らは、産学官民連携により、ランドスケープスケールで科学的データに基づくグリーンインフラ実装を進めるため、「ランドスケープマネジメントセンター(LMC)」という組織のコンセプトを提唱した。LMCはグリーンインフラ管理に主眼をおいたエリアマネージメント組織であり、自治体の負担金、企業や個人の会費などを活用した持続的運営を目指している。講演では、印旛沼流域で設置予定のLMCについて紹介し、その可能性と課題などについて議論する。

グリーンインフラの協治を支援する情報共有基盤の実装:スマホアプリ「あめにわコネクト」等を事例として

発表者

所属

連名者

古田 尚也

大正大学

要旨

気候変動に伴う災害激甚化に対し、健全なグリーンインフラ(GI)の維持管理と活用は喫緊の課題である。本発表では、GIを「新たなコモンズ」と位置づけ、これまでのJST共創の流域治水プロジェクトの流域治水xIoT/DXの成果を基に、多様な主体による「協治」の実装を支援するスマホ用アプリ「あめにわコネクト」および「まちファーム」の概要について報告する。本アプリは、特定のGIの関係者間で環境センシング情報、現場の画像やコメントなどを相互に共有する基盤として機能する。実践共同体(CoP)の形成を通じて、アプリによる現場情報の可視化と共有が住民主体GIの協治を促進するか、その実践的意義と展望を考察する。

bottom of page